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SMAP在籍時から芝居の実力を発揮
難役をものにする天才俳優

草彅剛(2020)

草彅剛Getty Images

【注目ポイント】

2016年にSMAPを解散し、現在は新しい地図として香取慎吾、稲垣吾郎と共に活動する草彅剛。

コミカルな役どころからシリアスな役どころまで幅広くこなす草彅は、演出家のつかこうへいから「天才だ!」と言われるほどの実力を誇る。主演を務めたドラマ『いいひと。』『僕の生きる道』などで、ザテレビジョンドラマアカデミー賞・主演男優賞を受賞するなど、人気、演技力共にトップクラスの俳優だ。

草彅は役が憑依したかのような、迫真の芝居が特徴的だ。彼が演じると、どんな突飛な役でも「本当にこういう人物がいるのではないか」と思わせられる。その天性の才能もさることながら、絶え間ない努力にもフォーカスしないとフェアではないだろう。

草彅は芝居に対してストイックに向き合うことでも知られている。つかこうへい演出の舞台『蒲田行進曲』で主演を務めた草彅は、1日に10時間以上も稽古に励んでいたそう。

圧倒的な迫力を誇る草彅の芝居。その魅力は、どんな役柄にも真摯に取り組むストイックな姿勢が、画面を通じて克明に伝わるところにあるのではないだろうか。

草彅剛の演技を堪能するためのお勧めの一本

『ミッドナイトスワン』


出典:Amazon

監督:内田英治
脚本:内田英治
キャスト:草彅剛、服部樹咲

本作は、男性として生まれたが、心は女性のトランスジェンダーである凪沙(草彅剛)が親の虐待にあっている親戚の娘・一果(服部樹咲)を預かり、バレエを通して心を通わせていく物語。

本作で草彅は、トランスジェンダーという難しい役どころを見事にこなしている。

草彅は熱演しているとはいえ、彼の女装に違和感を感じる観客も少なくないだろう。やはり男性が無理をして女性の格好をしているような印象は拭えない。

しかし、画面に視線を注いでいくにつれ、現実の世界に生きる当事者たちが好奇の目にさらされていることを、草彅の“不自然な芝居”が見事に体現していることに気づかされるだろう。

一果のバレエの先生から「お母さん」と呼ばれた時の、凪沙の笑顔に全てが詰まっている。無意識に呼ばれた“お母さん”という言葉を噛みしめる草彅の、笑った目の下がり具合がなんとも愛おしい。

一果のバレエを踊る姿に心を奪われた凪沙は、彼女の夢を応援するために就職活動に励むのだが、そこでもやはり偏見の目を持たれてしまう。男として就職することになった凪沙は、男の見た目であろうと母の顔をしているのだ。

草彅は本作でみせた素晴らしい芝居で、第44回日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞した。

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