“顔面国宝”&“1000年に1人の美少女”W主演も…
脚本の改変により大コケ
『ハルチカ』(2017)
上映時間:118分
製作国:日本
監督:市井昌秀
原作:初野晴
脚本:市井昌秀、山浦雅大
配給:KADOKAWA
キャスト:佐藤勝利(Sexy Zone)、橋本環奈、小出恵介、上白石萌歌、恒松祐里、清水尋也、前田航基、平岡拓真、二階堂姫瑠、志賀廣太郎、近藤笑菜
【作品内容】
気弱だけど美形のハルタ(佐藤勝利)と、気が強いが前向きで明るいチカ(橋本環奈)は幼馴染。しかし小学3年の頃にハルタが引っ越してしまってからは疎遠になっていた。
高校生になったチカは、憧れの吹奏楽部に入部を決意するが、廃部寸前…。そこで偶然高校で再会したハルタを誘い、部を立て直すために奔走。コンクール出場という目標を掲げて努力するが、そのうちに2人の関係が動き始める。
【注目ポイント】
初野晴の同名ミステリー小説を原作にSexy Zoneの佐藤勝利と橋本環奈のW主演で映画化した青春ミステリードラマで、2015年から2016年にかけ、アニメ化もされた上で実写化に至った。
Sexy Zoneの佐藤勝利と橋本環奈のW主演により、複雑な事情を抱えながらもコンクール目指す吹奏楽部の奮闘とともに、淡い恋心を抱く主人公の高校生2人が様々な事件を解決していく姿を描き上げている。
とは言いつつも、本作のストーリー展開は、原作を改変しまくった挙げ句、漫画ファンからは「全くの別物」と揶揄される始末で、主演2人に合わせた“オリジナルストーリー”となってしまっている。
原作で描かれていたミステリー要素や同性愛に関する描写などを期待させながら、それらを一掃し、単なる青春ラブストーリーと化してしまった点で、大コケする条件が揃ってしまったといえる。
佐藤勝利は本作が映画初主演、片や橋本環奈は、この前年に公開された初主演映画『セーラー服と機関銃―卒業―』が大コケしたばかりであり、リベンジを期す立場だった。
セリフの長回しや吹奏楽部の演奏シーンなど、随所に見どころはあるものの、上映した映画館が113館と少なかったことも関係し、興行収入は約5200万円という“大爆死”ぶりだった。
佐藤のみならず、Sexy Zoneには、中島健人や菊池風磨といった、役者としても成功している“芸達者”がいたことで、どうしても比較されてしまう運命にあったことも、佐藤にとっては不運だった。
しかし佐藤は、2019年に、ジャニーズの後輩グループKing&Princeの髙橋海人を従え、映画『ブラック校則』で映画単独初主演を果たす。こちらも到底ヒットしたとは言えない数字(興行収入約3億円)で終わったが、並行して配信でも公開されたため、一概に「失敗」とは言い難い。
Sexy Zoneでセンターを務める佐藤は、その後もドラマに出続けており、作品に恵まれさえすれば、“汚名返上”の機会は、すぐに訪れるのではないだろうか。