極上のボクシング映画であり骨太の社会派ドラマ
『ザ・ハリケーン』(1999)
上映時間:145分
原題:The Hurricane
製作国:アメリカ
監督:ノーマン・ジュイソン
脚本:アーミアン・バーンスタイン、ダン・ゴードン
キャスト:デンゼル・ワシントン、ジョン・ハナー、デボラ・カーラ・アンガー、ロッド・スタイガー、ビセラス・レオン・シャノン、リーブ・シュレイバー、クランシー・ブラウン
【作品内容】
デンゼル・ワシントンが演じるカーターは13歳の時、人種差別がきっかけで少年院に収容される。
少年院でボクシングの技術を身につけ、釈放後はプロボクサーとして活躍。世界ミドル級王者になったが、またも人種差別で無実の罪を着せられ、終身刑になってしまう。
彼は自らの伝記を出版した後、完全に心を閉ざしてしまうのだった…。
【注目ポイント】
本作は、黒人差別がまだ色濃く残る1966年、アメリカ・ニュージャージー州で3人の白人を銃殺したとされる冤罪事件「ルービン・カーター事件」を基にした、実話ベースの物語だ。
全員が白人の陪審員だったことで、理不尽な求刑を受け、終身刑を言い渡された黒人プロボクサーチャンピオンのルービン・“ハリケーン”・カーターが無罪を潔白するための苦しい戦いと、波乱の人生をシリアスなタッチで描いている。
ボクシング映画であると同時に、社会性のあるストーリーが見どころのヒューマンドラマだ。そのキャッチコピーは「真実は、負けるはずがない」。
物語は、検察に隠蔽されていた新たに証拠が発見され、カーターが自由の身となるシーンで幕を閉じる。カーターはその時、既に50歳を超えていた。
ストーリーはここで終わるが、その後、カーターは、WBC(世界ボクシング評議会)から世界ミドル級名誉チャンピオンの称号とチャンピオンベルトを授与され、この世を去るまで、冤罪救済活動に尽くす人生を送った。