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本作のすべて、それはミア・ゴス

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本作のすべてであるシリアルキラー“パール”を演じるミア・ゴスに触れないわけにはいかないだろう。乙女心から殺人衝動発動までの圧倒的ふり幅をもつパールの情動を、ミア・ゴスは圧倒的な演技によって大迫力で見せつけてくれる。

母からの抑圧と他者との関係性が希薄な環境のなかで肥大していくパールの自我は幼く、そして無垢であるからこそ恐ろしい。そうした未熟ゆえの、己の欲望に忠実な衝動をミア・ゴスはとてもグロテスクに演じているのだ。

とくにパールが絶対的な自信を持って(その自信の根拠がないのがまた怖い)挑んだオーディションでの一幕は、まさにミア・ゴス劇場。純真とグロテスクさが同居する本作を象徴するシーンである。

そしてエンドクレジットもまたすごい。いままでこんな恐ろしいエンドクレジットを観たことがない。映画史に残るといっても過言ではないまさに名エンドクレジットであった(これもオマージュである)。

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