ホーム » 投稿 » コラム » 海外映画 » 映画史に残る結末…元ネタは? A24『Pearl パール』レビュー。ピッチフォークの意味を考察【映画と本のモンタージュ】 » Page 5

合わせて読みたい一冊

シャーリイ・ジャクスン『くじ』(深町眞理子訳/ハヤカワ文庫)


出典:Amazon

嫌~な気分にさせてくれる短編が目白押しな本書は映画『Pearl パール』と同様にグロテスクな物語ばかりである。意識なき差別や、嫉妬、そして悪意といった、人間が考え得る嫌なものがすべて詰まっている。

なかでもリージョナリズムとの関連が深い短篇としては表題作の「くじ」がオススメである。

村の毎年恒例の催しである「くじ引き」にあつまった村人たちの物語は、その催しの意味を知っている村人たちという前提によって、読者の心に這い寄ってくるグロテスクさに感情が抑えつけられどうにもならない感情が沸き起こる。

また無垢と純真によってその悪意が覆い隠されている様も映画との共通性を見出せる。収録された22作の短篇どれもが嫌~な気持ちになるので、こんな話を考えつく著者のシャーリィ・ジャクスンの性格を疑ってしまって勝手に嫌いになってしまうくらいである。

(文・すずきたけし)

【関連記事】
失明した娼婦の結末は…? ジャッロ映画『ダークグラス』の評価は? “本のプロ”が魅力を徹底解説【映画と本のモンタージュ】
主人公ターのモデルはSF映画の巨匠…? 『TAR』を“非ナチ化とSNS告発“の観点で考察&解説【映画と本のモンタージュ】
なぜアカデミー賞を制覇? 映画『エブエブ』のすごさを解説。まさかの涙…“本のプロ”の視点で考察【映画と本のモンタージュ】

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!