9位:ドアーズ(1991)
製作国:アメリカ
原題:the doors
監督:オリバー・ストーン
脚本:オリバー・ストーン、J・ランダル・ジョンソン
出演:ヴァル・キルマー、フランク・ホエーリー、ケヴィン・ディロン、メグ・ライアン、カイル・マクラクラン
【物語の奥深さ】★
【高揚感】★★
【再現度】★★★
米ロサンゼルス出身のロックバンド「ドアーズ」でボーカリストを務めた、ジム・モリソンの生涯をモチーフにした伝記映画。
ベトナム戦争が泥沼化し、反政府運動が高まりをみせた1965年。大学の映画学科に通うジム(ヴァル・キルマー)は、詩を愛する文学青年。ある日、キーボード奏者のレイ・マンザレクに誘われ、ドアーズを結成。ジムのけた外れの才能によって、バンドは名声を得ていく。
反権力のカリスマとして持ち上げられたジムは、恋人のパメラ(メグ・ライアン)を巻き込んで、次第に常軌を逸した行動をとるようになり…。
ヒッピーカルチャー華やかなりし1965年に結成された、アート色の強い異形のロックバンド「ドアーズ」。ボーカリストを務めたジム・モリソンは、豊富な文学的教養に裏打ちされた幻想的な歌詞と、ユニークな ボーカリゼーションで人気を博したが、1971年に27歳の若さで死去。原因は薬物の過剰摂取とされている。
ドラッグ中毒者の見る幻覚を思わせるサイケデリックな映像が延々と持続し、観る者の感覚を、ジム・モリソンの狂気的なセンスになじませていくような演出が採用されている。
主演のヴァル・キルマーはモデルとなったジム・モリソンにそっくりであり、現実と虚構が入り混じるライブシーンは見応え抜群。
恋人をクローゼットに押し込めて火を放つといった奇行エピソードがたっぷり描かれる反面、楽曲制作に向き合う姿はほとんど描写されないため、ストレートな音楽映画として観ると、残念な思いをするかもしれない。
『ハートに火をつけて』、『ジ・エンド』など、ドアーズの代表曲が惜しげもなく使用されているサウンドトラックは魅惑的だ。