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「卓越した天才」
来年にはロンドンで舞台上演決定

© 2001 Studio Ghibli・NDDTM
© 2001 Studio GhibliNDDTM

それだけには留まらず、世界的ヒットを記録したミュージカル『レ・ミゼラブル』の演出を行なった、名演出家ジョン・ケアードが『千と千尋の神隠し』の舞台化を監督。この舞台は日本全国ツアーが行われ、2024年4月〜7月には、イギリスのロンドン・コロシアムにて上演される。

演出家ジョン・ケアードは「『千と千尋の神隠し』史上初の舞台化に携わることができて、とても興奮し光栄に感じている」と述べ、続けて「私は長年、宮崎駿を世界映画史上の卓越した天才の一人であり、アニメという形式の史上最大の提唱者であると考えてきました」と発言。

また海外には、日本の映画作品に関して多くのことが書かれている本も出版されている。その一つが、『Japanese Cinema:Texts and Context(原題)』だ。翻訳すると『日本映画:テクストとコンテクスト』。その中身は、小津安二郎監督の映画『晩春』、黒澤明監督の映画『七人の侍』、本多猪四郎監督の映画『ゴジラ』、北野武監督の映画『HANA-BI』、中田秀夫監督の映画『リング』まで、様々な日本映画を研究し、日本の監督達について語るといった内容だ。

この本の中の「The Global Markets for Anime:Miyazaki Hayao’s Spirited Away(アニメ世界市場:宮崎駿の『千と千尋の神隠し』)という章を執筆した、レイナ・デニソン博士(イースト・アングリア大学)という人物がいる。

彼は「1989年に公開された『魔女の宅急便』以来、スタジオジブリ作品は日本の興行収入を伸ばしてきた。しかし『千と千尋の神隠し』は、スピルバーグの『E.T.』や『ジュラシック・パーク』のような映画の記録を凌ぐ大ヒットを記録した」、「日本発の映画が、ハリウッドの大作映画と肩を並べることができることを証明したのです」と話している。

また、誰もが一度は耳にしたことのあるアニメーション映画である『トイ・ストーリー』や、映画『カーズ』、映画『バグズ・ライフ』などの監督を務めたピクサーのジョン・ラセター監督。彼も、長年、宮崎駿監督が製作する作品を賞賛しているのだ。実は映画『トイ・ストーリー3』では、映画『となりのトトロ』のキャラクターであるトトロがぬいぐるみとしてカメオ出演している。

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