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主人公と語り部が違う理由に隠された真実とはー。

『おおかみこどもの雨と雪』(2012)

細田守監督
細田守監督Getty Images

上映時間:117分
監督:細田守
脚本:細田守、奥寺佐渡子
原作:細田守
出演:宮崎あおい、大沢たかお、黒木華、西井幸人、大野百花、林原めぐみ、加部亜門、平岡拓真、中村正、大木民夫、片岡富枝、麻生久美子、染谷将太、桝太一、小林隆、谷村美月、菅原文太、上白石萌音

【作品内容】
主人公・花は「おおかみおとこ」である彼に一目惚れし恋に落ち、すぐに雨と雪の2人の子どもを授かる。そんな幸せな毎日だったが彼亡くてしまう。取り残された花は子たちが「人間か、オオカミか」どちらでも選べるように、自然に囲まれた田舎町に移り住むことを決意する。

『時をかける少女』(2006)や『サマーウォーズ』(2009)など手掛けた、日本を代表するアニメ映画監督・細田守の第3作目の映画だ。前2作は、SF要素が強い印象だったが、本作は、1人の女性が女性が恋愛、結婚、出産、子育てを通して成長する姿から、その子ども達が自立する過程を描いた作品となっている。

【注目ポイント】

映画が始まって早々、主人公・花と「おおかみおとこ」、2人の子どもの幸せな生活は唐突に終わりを告げる。「おおかみおとこ」が不慮の死を遂げるのだ。問題となるのは、彼の死因である。

「おおかみおとこ」が水路で倒れているところを発見されるシーンは描かれているものの、死因をはっきりさせていないのだ。「おおかみおとこ」の死因について、ネット上では「働き詰めの日々の過労が原因で亡くなったのでは?」という見方が大勢を占めている。

それまでは、定職につく必要がなく、自由気ままに暮らしていた彼が、いきなり4人の生活費を稼ぐということはなんとも難しいことだ。加えて、人間の子どもであっても育てるのは一苦労なのに、オオカミとのハーフとなると保育園にも預けられない。そのため花が育児につきっきりになるため、「おおかみおとこ」は必然的に、1人で家族全員の生活費を稼がなければならないのだ。

また、本作の主人公は花だが、語り部は娘の雪であることから、ファンの間では「母親の作り話に基づいた物語なのでは?」という解釈も囁かれている。

思い返してみれば、父親が亡くなった時も、雨が二度と戻らない家出をした時も、全て雪がいない時の出来事である。とはいえ、本作の物語がたとえ母親の嘘に基づいていたとしても、それは雪の心を守るための「優しい嘘」であり、決して本作の感動を損なうものではないと、個人的には思うところだ。

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