櫻井翔演じる地球科学専門家が謎だらけの殺人事件に挑む!
『ラプラスの魔女』(2018)
監督:三池崇史
脚本:八津弘幸
キャスト:櫻井翔、広瀬すず、福士蒼汰、志田未来、玉木宏、豊川悦司
【作品内容】
夫婦で温泉地を訪れた老人が、硫化水素中毒で死亡した。刑事の中岡(玉木宏)は、亡くなった男の妻が犯人ではないかと疑うが、事件現場の調査を行った地球化学専門家・青江修介(櫻井翔)は、現場の状況から殺人は極めて難しく、事件性は著しく低いと断定する。数日後、別の都市で硫化水素中毒による死亡事件が発生。亡くなったのは、最初の事件の被害者男性の知人であった。2つの事件が、同一犯による連続殺人事件であると考える青江だったが、解決への糸口はなかなか見つからない。そんな中、予知能力のある謎の少女・羽原円華(広瀬すず)が現れ、その不思議な能力を駆使して、これから起こる自然現象を見事に言い当てるのだったが…。
原作は2015年に発表された同名小説。メガホンをとったのは、『悪の教典』、『クローズZERO』などを手がけたヒットメーカーであり、日本を代表するバイオレンス映画の巨匠である三池崇史。NETFLIXでは同小説の韓国版実写化作品が配信されている(2022年9月現在)。
【注目ポイント】
科学に精通する科学者が、殺人事件の謎に迫る…。筋立てだけみれば、東野圭吾最大のヒットシリーズ「ガリレオ」を想起させる内容である。しかし、本作でフィーチャーされるのは、櫻井翔演じる科学者・青江修介の名推理ではなく、広瀬すず演じるヒロイン・羽原円華の超人的な予知能力である。
タイトルの「ラプラスの魔女」とは、フランスの数学者ピエール=シモン・ラプラスが唱えた「ラプラスの悪魔」という概念がモチーフ。その意味は「ある瞬間におけるすべての物質の状態を理解する知性があれば、その知性は未来も予測できる」というもの。
中盤から後半にかけて、円華が予知能力を得た驚きの理由が明かされる。ミステリーではなくSF映画を思わせる展開には賛否が分かれるだろう。また、緻密なロジックで事件を解決してくタイプの作品ではないため、「ガリレオ」シリーズのファンは、やや肩透かしをくらうかもしれない。