ホーム » 投稿 » コラム » 日本映画 » 歴代の漫画実写化史上、最高の再現度を誇るキャラクターは? 完成度が高すぎて原作ファンを唸らせた名キャスティング&映画5選 » Page 5

シリーズ史上最強の敵役を完璧に再現

藤原竜也『るろうに剣心 京都大火編』志々雄真実

藤原竜也
藤原竜也Getty Images

監督:大友啓史
原作:和月伸宏
キャスト
緋村剣心:佐藤健
神谷薫:武井咲
高荷恵:蒼井優
相楽左之助:青木崇高
瀬田宗次郎:神木隆之介
志々雄真実:藤原竜也

【作品内容】

第1作『るろうに剣心』(2012)は、原作におけるニセ抜刀斎騒動・黒笠編・観柳邸突入までのストーリーが基になっている。第2作『るろうに剣心 京都大火編』、第3作『るろうに剣心 伝説の最期編』(共に2014)が、前後編2部作として連続公開。

さらに時を置いて、2021年、新たな2部作として原作の『人誅編』をベースにした完結編『るろうに剣心 最終章 The Final』、オリジナルビデオ作品である『追憶編』を基盤にとした『るろうに剣心 最終章 The Beginning』が、こちらも連続公開された。

【注目ポイント】

人気漫画を実写化するにあたり、成功と失敗をわける最も重要なポイントは、観る人がキャラクターを演じる俳優にコスプレ臭を感じるか否かではないだろうか。これまで数々の週刊少年ジャンプの人気作品が実写化されてきたが、原作ファンを唸らせるケースは一握り。ほとんどの作品が失敗に終わる中、映画『るろうに剣心』シリーズは、登場人物や世界観の再現度の高さが群を抜いており、漫画原作の実写化映画の金字塔と目されている。

興行面での成功も目覚ましく、全5作品が公開され、そのどれもが大ヒット。原作でもっとも人気のエピソードを描く『るろうに剣心 京都大火編』(2014)では、シリーズ史上最強にして最悪の敵・志々雄真実が登場する。

人斬りを引退した剣心の代わりとして、幕末末期に殺し屋として暗躍した志々雄の信条は「弱肉強食」。明治政府によって身を焼かれるも生き延び、全身を包帯で覆った姿で、明治維新後の日本をふたたび戦乱の世に変えようとする。ミイラ男のような外見だが、元々、剣心に負けず劣らずの美男子であり、傍らには常に美女(駒形由美)をはべらせている。

目的を達成するためには仲間をも切り捨てる冷酷なキャラクターではあるが、原作者が「もっとも好き」であると公言していることからわかるとおり、数々の名言・名シーンを生み出した人気の高いキャラクターであり、実写化の配役には期待が高まっていた。

志々雄役を任されたのは、天才俳優・藤原竜也。本作では、演劇界の巨匠・蜷川幸雄の舞台で培った天性の芝居勘に加え、しなやかで強靭な肉体から繰り出されるアクションを駆使して、憎悪に満ち、狂った志々雄真実を見事に再現。佐藤健演じる剣心をあと一歩のところまで追い込んだ。

全身を包帯に巻かれほとんど表情が見えないからこそ、心に響く発声と鋭い眼差しが際立つ。包帯さえ巻いてしまえば、誰でもルックスは志々雄真実に近づけることはできただろう。しかし、それだけだと単なるコスプレと変わらない。

藤原竜也は、静と動のメリハリを活かした身のこなしに加え、内に秘めた強靭な精神力を感じさせる気迫の演技で、志々雄のエッセンスを表現することに成功している。数々の名作に出演する藤原の代表作の一本と言っても決して言い過ぎではないだろう。

(文・野原まりこ)

 

【関連記事】
もし『ONE PIECE』が日本で実写化されたら…? ガチで妄想キャスティング。ルフィやサンジ、ナミにふさわしい役者は?
迫力は歴代最強なのに…『シン・ゴジラ』を超えられないワケ。映画『ゴジラ−1.0』徹底考察&解説。忖度なしガチレビュー
「最悪のジャンプ漫画実写化は…?」大失敗の『週刊少年ジャンプ』実写映画5選。原作ファン大ブーイングの問題作をセレクト

1 2 3 4 5