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まさに天才。若手No.1の実力派

奥平大兼

奥平大兼
奥平大兼写真本人のインスタグラムのスクリーンショット

【注目ポイント】

ナチュラルでありながらも、異彩を放つ芝居が絶賛されている大注目の俳優・奥平大兼。

松岡茉優主演ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』では、同世代の実力派俳優である芦田愛菜や加藤清史郎が顔を揃える中、圧倒的な実力を見せつけた。

“演技”というよりも“人と人との会話”や“感情”を大切にしているような芝居は、嘘くささがないため、観る者を作品世界にスムーズに引き込み、心をグッと掴む。

そんな彼の魅力は、飾らない人柄にあるのではないかと思う。彼のパフォーマンスからは「自分を良く見せたい」といった邪念が一切感じられない。例えるなら、無骨さと強い輝きを放つ、まだ誰にも触れられたことのない原石。

若くしてすでに達観した佇まいはどこで培われたものなのだろうか。彼の芝居のルーツを探る一本を紹介する。

奥平大兼の演技を堪能するためのお勧めの一本

『MOTHER マザー』(2020)

映画『セトウツミ』や『タロウのバカ』の大森立嗣監督作品の本作。奥平大兼は、長澤まさみ演じる母・秋子の息子の周平を演じる。

秋子は若くして周平を産むが、仕事は続かず、男を取っ替え引っ替えしては、家族に金をせびる生活をしていた。周平は、学校にも行かせてもらえず、ほとんど育児放棄されている状態であったが、それでも愛する母と一緒にいることを選んだ。

成長した周平は、母と異父兄妹である冬華を養うために働くが、母に盗みを強要され、さらに殺人までさせられる。

歪んだ親子の愛情を描く、残酷な物語だ。

奥平は本作で銀幕デビュー。演技をすること自体初めてだったというから驚きだ。何百人という候補者の中から見事抜擢され、堂々とした芝居で難しい役を演じきった。

奥平の凄さは、先述した通り“ただそこにいる”かのようなナチュラルな芝居にある。あどけなさの中にある強い芯と素直さはふとした息遣いで表現される。しかし、達観した雰囲気をまとってはいるものの、素顔はただまっすぐに母の愛を欲している小さな少年と変わらない。

ただ相手役の芝居を感じたまま、受けたまま、カメラの前で演技をする。それはやろうと思ってできることではない。

演技初挑戦ながら本作で見せた芝居は、まさに天才という言葉以外、当てはまる言葉が見つからない。奥平は本作で日本アカデミー賞で新人俳優賞を獲得した。

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