韓国の巨匠が傾倒するジャパニーズホラーの名手
『殺人の追憶』の元ネタ→黒沢清『CURE』(1997)
監督・脚本:黒沢清
出演:役所広司、萩原聖人、うじきつよし、中川安奈、洞口依子
【作品内容】
刑事の高部(役所広司)は、精神病を患う妻(中川安奈)がいる。高部はとある殺人事件の捜査を担当している。いずれの事件も犯人はすぐに逮捕されているものの、犯行動機は曖昧である。
また、被害者の体に✖️の切り傷があるという特徴も共通している。事件の背景に催眠術が関係しているのではないかと直観した高部は、友人の精神科医・佐久間(うじきつよし)に協力を要請。程なくして高部は、加害者たちが犯行前に会っていた一人の男に行き当たる…。
【注目ポイント】
現代日本を代表する名匠、黒沢清。彼が1997年に制作したサイコサスペンススリラー映画『CURE』は、黒沢が国際的に知られるきっかけとなった作品として知られている。
そんな『CURE』に影響を受けた作品は、韓国屈指の名匠ポン・ジュノの名作『殺人の追憶』だ。軍事政権下の1980年代に発生し、10人もの犠牲者を出した華城連続殺人事件をモチーフとした本作。ポンによれば、残虐極まりない殺人鬼の描写は『CURE』をモデルとしているという。
なお、ポン・ジュノは黒沢以外にも多くの日本の監督から影響を受けており、イベントでは北野武や阪本順治の名前を挙げている。国際舞台で隆盛を極める韓国映画だが、その源流のいくつかは日本映画にたどり着くのかもしれない。