ハリウッド新世代監督に深く刻まれる日本映画のDNA
『NOPE/ノープ』の元ネタ→大友克洋『AKIRA』(1988)
監督:大友克洋
脚本:大友克洋、橋本以蔵
原作:大友克洋
出演:岩田光央、佐々木望、小山茉美、玄田哲章、石田太郎
【作品内容】
「AKIRA」はヤングマガジンにて1982年12月より連載が開始された日本を代表する漫画作品。その独創的な世界観は日本だけでなく海外まで名を広めている。原作者・大友克洋が自ら監督を務めたアニメ版は、制作期間3年、総制作費は10億という、異例の労力と時間を費やし誕生。
ストーリーは1988年7月に新型爆弾が使用され第三次世界大戦が起き、それから31年後の2019年の東京が舞台となっている。
【注目ポイント】
『ゲット・アウト』(2017)や『アス』(2019)で知られる俊英ジョーダン・ピール。彼が2022年に制作した『NOPE/ノープ』は、未確認飛行物体が突如田舎町に現れるというストーリーで、SFテイストの中にも、ピールらしい人種差別への言及が散りばめられている。
そんな本作が影響を受けているのは、大友克洋の傑作アニメーション『AKIRA』だ。幼少期に『AKIRA』を鑑賞し、感銘を受けたというピール。作中では、エメラルド(キキ・パーマー)がバイクでスライドブレーキをかけるシーンなどに『AKIRA』の影響が垣間見える。
なお、ピールは、未確認飛行物体の動きや外見に、『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)のミニマルなデザインをモデルとしていることも公言している。ジャパニメーションが世界の映画に与えた影響は計り知れない。
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