会津魂を胸に
夫婦で同志社大学の設立を成し遂げた
『八重の桜』(2013)
主人公:新島八重
放送期間:2013年1月6日~12月15日
脚本:山本むつみ、吉澤智子、三浦有為子
最高視聴率:21.4%
主演:綾瀬はるか
【作品内容】
時は幕末、会津藩の砲術指南の家柄に生まれた八重(綾瀬はるか)は、女性でありながら、会津戦争で明治政府軍と戦った。
しかし会津藩は敗北し、「逆賊」の汚名を着せられる中、八重は新たな生き方を模索し、「学問」に活路を開く。京都へ移住した八重は、その後、アメリカ帰りの新島襄(オダギリジョー)と出会い、結婚する。後に2人は、同志社大学設立という夢を追う。
【注目ポイント】
幕末から昭和初期までを生きた女性・新島八重を主人公とした本作。会津藩の教え「ならぬことはならぬ」を気概とし、夫婦関係を世間に蔑まれても全く気にせず激動の時代を駆け抜けた八重のことを、夫である新島襄は「ハンサムウーマン」と称した。
本作が制作された背景には東日本大震災がある。当初は全く別の作品が企画されていたのだが、その途中で震災が起こった。その後、東北復興を支援する内容にすべきだという声がNHK内部で上がり、方針を転換。そこで、被災地である福島県出身の主人公として、新島八重に白羽の矢が立ったという。
物語前半、あまりにも会津弁を忠実に再現した結果、福島県人でさえ理解できないセリフ回しが続出。テロップで意味を説明する必要に迫られることになる。さらに、大河ドラマで扱うには無名すぎるとあって、長年、大河ドラマを見てきた層には受けず、“復興大河”と揶揄され、視聴率は振るわず、当時歴代ワースト4位だった。しかし、視聴率では計れない魅力が本作にはある。
会津藩の目線から戊辰戦争を描いたドラマとして、まず思い浮かぶのは『白虎隊』(1986年・日本テレビ系)だろう。そのイメージから、悲劇的な物語として記憶されている題材だ。しかし本作は、戊辰戦争の“その後”を生きた女性の視点で、八重が新たな道を切り拓いていく様を、清く美しく描いている点で、『白虎隊』とは全くテイストが異なるドラマに仕上がっている。
銃を手に戦っていた主人公の女性が、敗北を機に銃を捨て、学問を“武器”とし、女性の社会進出を促すことで、時代の移り変わりを表現している点でも、本作は幕末から明治にかけての激動の時代を映し出しており、そこから現在の日本社会も学ぶべき部分の多いドラマだ。
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