実は救いようのない結末?
意味深なラストシーンに隠された謎
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)
上映時間:120分
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ニコラス・ヒアコボーネ、アレクサンダー・ディネラリス・Jr.、アルマンド・ボー
キャスト:マイケル・キートン、ザック・ガリフィアナキス、エドワード・ノートン、アンドレア・ライズボロー、エイミー・ライアン
【作品内容】
ヒーロー映画『バードマン』の主人公を演じ、世界的なスターとなった俳優リーガン・トムソンは、その後の私生活のトラブルや俳優人生の伸び悩みから、すっかり落ち目になってしまった。
本格派俳優として返り咲くことを夢見る彼はある日、レイモンド・カーヴァーの短編小説「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、再びブロードウェイの舞台に立つことを決意する。しかし、映画を軽んじるブロードウェイの旧習や辛口の評論家、わがまま放題のキャスト陣に振り回され、精神的に追い詰められていく。
【注目ポイント】
『バッドマン』シリーズで名をはせたマイケル・キートンが、落ち目の俳優を自虐的に演じた本作。そのラストシーンは、リーガンが舞台の主人公と同じように、拳銃自殺を図ったリーガンが、一命をとりとめて病院に運ばれたところからはじまる。
彼の娘は、病床のリーガンに、公演が大成功だったことを幸せそうに告げる。その後、彼は、病室の窓の外を自由に飛び回る鳥を見つけ、身を乗り出して飛び降りる。娘のサムは、消えた父の姿を探し、空を見上げてにっこりとほほ笑む。
この不気味なラストシーンは、リーガンの想像の中のできごとなのかもしれないし、彼が見た夢なのかもしれない。しかし、こんな解釈もある。それは、実はリーガンはすでに舞台上で死んでいるというもの。つまり、このラストシーンは、彼が見る死後の世界なのだ。さまざまな解釈が飛び交っているが、真相は謎のままになっている。