タイトルに納得
生きづらい現代社会を描くストーリーに若い女性が支持
『日曜の夜ぐらいは…』
放送期間:10月22日~12月24日
放送時間:日曜22:30~23:25
放送局:日本テレビ系
脚本:岡田惠和
最高視聴率:5.6%
キャスト:清野菜名、岸井ゆきの、生見愛瑠、岡山天音、和久井映見、矢田亜希子、川村壱馬、宮本信子
【作品内容】
あるラジオ番組の企画で開催されたバス旅行で出会った岸田サチ(清野菜名)、野田翔子(岸井ゆきの)、樋口若葉(生見愛瑠)の3人の独身女性が、意気投合し、思い出に買った宝くじが高額当選したことで、3人の運命が大きく変わっていく…。
【注目ポイント】
メインの3人はそれぞれ、困難な人生を送っていた。サチは車椅子生活を送る母・邦子(和久井映見)を介護するヤングケアラー。翔子は親兄弟から絶縁され、親が亡くなっても兄から相続放棄を強要される天涯孤独のタクシー運転手。ちくわぶ工場で働いている若葉も、父親の顔も知らず、祖母に育てられた過去を持ち、友人もいない。
まさに、現代社会に生きづらさを感じている若者を体現したような3人だ。
同じラジオを聴いていた3人が友達になり、宝くじによって人生が変わる。あらすじだけ見れば、ご都合展開かもしれない。しかし3人の取り巻く問題は自分ひとりではどうしようもできないものであり、それが完全に解決することはない。
3人は寄り添いあいつつも、お互いの問題を根本から解決するわけではなく、むしろ干渉し過ぎない、ほど良い距離感が視聴者の目にはリアルに映ったことだろう。
オリジナル脚本を書いた岡田惠和の作風らしく、残酷な現実を描きながらも、ハッピーエンドに導くストーリーが若い女性を中心に支持された。残酷な日常が、解決するわけではないけど、人と出会い、話す。そんな日常のささいな喜びも視聴者も共有する時間だったのだ。そしてタイトルでもある「日曜の夜ぐらいは…」という言葉は、視聴者にも向けられていたものだったのだと気付かされる作品だった。