仲間がどんどん消えていく…。
バーチャル空間ならではの演出が冴えわたるシリーズ異色作
『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』(2002)
上映時間:107分
監督:こだま兼嗣
原作:青山剛昌
脚本:野沢尚
キャスト:高山みなみ、山崎和佳奈、神谷明、田中秀幸、山口勝平、林原めぐみ、茶風林、緒方賢一、岩居由希子、高木渉、大谷育江
【作品内容】
コナンや少年探偵団たちはIT企業シンドラー社が開発したシミュレーションゲーム「コクーン」の完成披露パーティに参加していた。
一方で、シンドラー社の社長トマス・シンドラーは地下室でゲームの開発責任者の樫村を殺害する。被害者のダイイングメッセージからコクーンの中に犯人を示す手がかりがあることを突き止めたコナンはコクーンへ乗り込む。
だがゲームが開始された直後、人工知能「ノアズ・アーク」がシステムを乗っ取り、ゲームに参加していた子供たちが人質になってしまう…。
【注目ポイント】
本作は劇場版第6作。他の劇場版名探偵コナンシリーズとは異なり、バーチャル空間でのゲーム内の世界が主な舞台となる。コナンは現実世界での殺人事件の真相をつかむために少年探偵団たちや蘭と協力してゲームのクリアを目指す。
殺人事件の犯人も最初から明かされており、犯人は分かっているが、一体どうして犯行に及んだのかというところが見どころになっている。
今でこそバーチャル空間などを題材にしたアニメ作品は多く見られるが、当時はまだそれほど多くはない設定の作品だ。
ゲームの舞台は、コナンがあこがれるシャーロックホームズの舞台である19世紀のロンドンを再現したもので、風情がある世界観であり、アドベンチャー的な要素が多くなっている。
コナンの仲間たちが命がけでコナンを守り、先へ進んでいく展開は本作の見どころだ。また、いつもの少年探偵団だけでなく、映画オリジナルの小生意気な子供もコナンたちの姿を見て改心する姿は見ていて気持ちがいいシーンである。
現実世界ではさすがに主要な登場人物が命を落とすという展開は実現不可能だが、ゲームの世界を舞台にした本作ならではの演出だ。
なお、シャーロックホームズを元にしたネタが多いが、シャーロックホームズを知らない人でも分かるように逐一説明が入るので、元ネタを知らない人でも問題なく楽しめるだろう。
本作は興行収入も好調で2002年の年間邦画ランキング2位の34億円を記録した。