中毒性のあるカラフルで独創的な世界観が魅力
4『借りぐらしのアリエッティ』(世界興行収入:約219億円)
上映時間:94分
監督:米林宏昌
脚本:宮崎駿、丹羽圭子
製作:鈴木敏夫
キャスト:志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子、藤原竜也
【作品内容】
もうすぐ14歳になる身長10センチの小さな少女アリエッティ。彼女は、父ポッドと母ホミリーの3人で人間が住む家の床下にてひっそりと生活を送っていた。
少しずつ石鹸やクッキー、砂糖などを必要な分だけこっそりと借りて暮らすアリエッティ一家には掟がある。それは「決して人間に見られてはいけない」、「見られたからには、引っ越さないといけない」ということだ。
しかし、ある日少女のアリエッティは、その家に引越してきた少年・翔に自分の姿を見られてしまう。好奇心旺盛なアリエッティは翔に近づく。そんなアリエッティの家族に大きな事件が迫る…。
【注目ポイント】
1953年に発表されたイギリス女性作家メアリー・ノートンの児童文学『The Borrowers(原題)』を原作とし製作が行われた映画『借りぐらしのアリエッティ』。本作は、郊外の家の床下で両親と共に暮らす小さなティーンエイジャーの少女の姿を描いた小説を、新鮮な手描きタッチで映画化した作品である。
ヒロインであるアリエッティは12歳の少年・翔との出会いを通し思いがけない絆を育む。しかし、同時にこの2人の関係がアリエッティ一家を脅かすのだ。魅力的でシンプルな内容の本作は、世界的な収益1億5,149 万6,097ドル(日本円で約219億円)に値する。
他の人気スタジオジブリ作品達と同様に心温まる本作の内容は人々の孤独と友情をテーマとして扱っている。田舎生活をロマンチックに表現する近年SNSでも話題となるCottage(田舎小屋)+core(中核・熱狂的な)の造語”コテージコア”ファンにとって本作の映像はうってつけとなっており、視聴者の目を輝かせ釘付けにするカラフルで素朴なアリエッティの世界は多くの人々を魅了している。
また本作の色彩豊かな視覚表現とサウンドの両方はジブリ映画の中でも最もユニークな存在だ。身長が約10センチしかない少女アリエッティが、釘でできた道の上を歩いたり、ダンゴムシで遊んだり、一つの角砂糖を一生懸命運んだりする姿は、小さなアリエッティから見た世界を忠実に表現した独創的で中毒性の強い映像となっている。
突如耳をつんざく時計の音に、外に降る重たい雨の音や、草が風になびく音など、小人だからこそ聞こえる音や見える映像への細部への拘りは唯一無二の個性溢れる映像とサウンドとなっており、海外でも高い評価を獲得する要因となった。