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世界にまで広がった「おしんシンドローム」

『おしん』(小林綾子、田中裕子、乙羽信子)

泉ピン子【Getty Images】
泉ピン子Getty Images

主人公:谷村しん→田倉しん
放送期間:1983年4月4日~1984年3月31日
脚本:橋田壽賀子
最高視聴率:62.9%
主演:小林綾子→田中裕子→乙羽信子

【作品内容】

明治40年、山形の農家に生まれた少女・おしん(小林綾子)は不作による困窮がひどくなったことが原因で、7歳にして奉公に出されることになる。

その後、おしんは、明治・大正・昭和の激動の時代を必死に生き抜くことになる…。

【注目ポイント】

「朝ドラ」の金字塔にして、40年前の作品でありながら、今でもNHKオンデマンドで配信されている超名作。平均視聴率は52.6%、最高視聴率はなんと62.9%。これはビデオリサーチの統計史上、テレビドラマの視聴率の最高記録だ。

山形の貧しい農家に生まれた少女・おしん(谷村しん)が、さまざまな辛酸をなめながら女の生き方、家族のありようを模索しつつ必死に生きる姿を描いた。

原作・脚本はヒットメーカー・橋田壽賀子氏のオリジナルだ。少女期を小林綾子が、成人期を田中裕子が、晩年を乙羽信子がバトンタッチするように演じたが、やはり視聴者に最も印象を残したのは少女期を演じた小林綾子だろう。

山形の貧しい農村に生まれたおしんが口減らしのため丁稚奉公に出され、いかだに乗って、極寒の最上川を下っていく両親との別れのシーンは、貧困の悲惨さを象徴した本作のハイライトだ。

さらに、劇中で登場するご飯をかさ増しさせるために大根を混ぜ込んだ「大根めし」も注目され、山形県ではあえて大根めしをメニューに加える観光コースも登場するほどの社会現象となった。数多くの名作を世に送り出し、2021年に91歳でその生涯を終えた橋田氏の最高傑作だろう。

ドラマのあまりの反響ぶりによって、おしんの両親役を演じた伊東四朗、泉ピン子には視聴者から米が送られたというエピソードもある。

本作は世界68の国や地域でも放送され、特に中東や東南アジア、アフリカといった途上国ではブームを巻き起こし、放送時間になると、人通りがなくなるなどの現象を生んだ。

ヒロイン役を務めた3人のうち、乙羽信子は1994年に70歳で死去した後、2014年に宝塚歌劇団の殿堂入りを果たし、田中裕子は1989年に沢田研二と結婚した後も、名バイプレーヤーとして活躍。小林綾子は俳優業を続けながら勉学にも励み、都立高から立命館大学に進学。51歳となった現在、ドラマや映画、舞台の他にも、旅番組やバラエティー番組にも出演している。

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