手塚治虫初のR-12指定の作品

『どろろ』（2007）

監督：塩田明彦
原作：手塚治虫『どろろ』（小学館、秋田書店）
脚本：NAKA雅MURA、塩田明彦
出演：妻夫木聡、柴咲コウ、瑛太、原田美枝子、中井貴一

【作品内容】

舞台は戦国時代の日本、魔物に奪われた自分の身体を取り戻すために旅をする青年・百鬼丸（妻夫木聡）。こそ泥のどろろ（柴咲コウ）は、百鬼丸と百鬼丸のもつ刀に興味を持ち、付きまとうようになる。

初めは鬱陶しがっていた百鬼丸も少しずつ心を開き、共に魔物を倒し、元の身体を取り戻すための旅をする。

日本を代表する漫画家、手塚治虫により、1967年から1968年まで『週刊少年サンデー』（小学館）にて連載された少年漫画。1969年からは『冒険王』（秋田書店）で連載された。

【注目ポイント】

映画『どろろ』は2007年に公開され、第7回日本映画テレビ技術協会映像技術賞でVFX、劇映画部門を受賞し、興行収入は34億5,000万円と、興行的に大ヒットとなり続編となる2部、3部が告知されていた。

主人公の百鬼丸を妻夫木聡、相方のどろろを柴咲コウが演じた。その他、中井貴一、麻生久美子、杉本哲太などの実力派俳優達が脇を固め、劇団ひとり、寺門ジモン、インスタントジョンソンなどのお笑い芸人もキャスティングされ、暗い物語を哀愁漂いつつも、どこか抜けた作品となった。

しかしなぜ打ち切りとなってしまったのか、その主な理由は経済的な予算削減にある。

監督である塩田は2部、3部の脚本を完成していたそうだが、本作では妖怪や魔物との戦いを描くにあたって、VFXが製作の要となってくる。

本作もその高い技術力が発揮され、多くの賞にも恵まれた反面、劇中、物語が進むにつれて通行人や敵役など、画面の情報量がだんだんと減っていくのが素人目にもわかり、撮影途中で予算が足りなくなったことが見てとれる作品でもある。

興行収入34億円以上を叩き出しても、費用対効果が見合わず、続編は予算削減となり結果として打ち切りとなってしまった。

しかし、ヨーロッパ、アジア、アメリカを含む24カ国で配給され、日本ではなく世界からも評価されていただけあり、挑戦してほしかったと残念に思う。