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ビートたけしの誕生秘話を描いた傑作

劇団ひとり『浅草キッド』(2021)

監督を務めた劇団ひとり
監督を務めた劇団ひとりGetty Images

原作:ビートたけし
監督:劇団ひとり
脚本:劇団ひとり
出演:柳楽優弥、大泉洋、門脇麦、土屋伸之、中島歩、古澤裕介、小牧那凪、大島蓉子、尾上寛之、風間杜夫、鈴木保奈美

【作品内容】

昭和40年の浅草。大学を中退したたけし(柳楽優弥)は、ストリップとお笑いの劇場・フランス座で芸人の深見千三郎(大泉洋)に弟子入りする。しかし、テレビの普及により、劇場の客入りは減っていき…。

原作は1988年に発表されて以来、何度もドラマ化されてきたビートたけしの自伝的小説。Netflix製作のもと、たけしを敬愛するピン芸人・劇団ひとりがメガホンをとった。

【注目ポイント】

ビートたけしが自身の師匠・深見千三郎と過ごした時代を記した自伝小説をもとに、劇団ひとりが映画化した本作。柳楽優弥が演じたたけしがあまりにも似ていることでその演技力が話題となり、Netflix国内初登場1位にランクイン。原作未読の若い層にも幅広く支持された。

役者陣の名演も去ることながら、監督を務めた劇団ひとりの安定した演出力も成功。作品からは、劇団ひとりが敬愛するというビートたけしへの熱量が滲み出ており、それが昭和の空気や人物の描写に表れていると感じる。

映画を鑑賞したビートたけしも、自身を題材にした映画ではあるが、劇団ひとりの監督としての才能を絶賛。

劇団ひとり自身も「ビートたけしへの思いや、映画的なスキルと脚本を含め、自分以外に適任はいないだろうという勘違いから始まっている」と語るほど、敬意と愛情を持って創り上げたことがわかる。

確かに、笑いへの眼差しや芸の道で生きるという情熱は、芸人である劇団ひとりでなければ表現しえないといえる境地に達している。

ビートたけしを演じた柳楽優弥の表現力も素晴らしいが、その芝居を導いた劇団ひとりの映画監督の才が光った作品である。

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