「福田組」の演出と原作の相性が最悪…。
『ヲタクに恋は難しい』(2020)
監督:福田雄一
脚本:福田雄一
原作:ふじた
出演:高畑充希、山﨑賢人、菜々緒、賀来賢人、今田美桜、若月佑美、ムロツヨシ、佐藤二朗、斎藤工
上映時間:114分
【作品内容】
26歳OLの桃瀬成海(高畑充希)は、転職先で幼馴染の二藤宏嵩(山﨑賢人)と再会する。
成海はマンガ・アニメ・BLを愛する腐女子であり、宏嵩も重度のゲームヲタク。
成海は周囲にヲタクだとバレることを恐れて趣味を隠しており、会社でヲタクの自分をさらけ出せるのはオタク友だちの宏嵩だけだった。
居酒屋で男を見る目がないと嘆く成海に、宏嵩は「ヲタク同士で付き合えば快適なのでは?」と提案したことで、晴れて2人は付き合うことになるのだが……。
【注目ポイント】
『ヲタクに恋は難しい』、通称「ヲタ恋」は大人気Webコミックが原作。特に20代女性からの支持が高く、2014年に「本にして欲しいWebマンガ部門」の1位になり、一迅社より書籍化され、2015年には『このマンガがすごい!』でオンナ編の1位を獲得した。
原作はギャグを交えつつではあるが、基本はラブストーリーだ。そのなかでオタクカップルの解像度が非常に高く、「恋愛には興味ないけど、メリットを感じて付き合い、だんだんと仲を深めていく」という描写がオタク女子に強く刺さった。
実写化された本作で山﨑が演じたのは、高畑充希演じる主人公・成海の相手役である二藤宏嵩。山﨑の演技は素晴らしく、一見クールで何を考えているのか分かりにくい反面、成海を想う気持ちが随所でにじみ出ており、原作の再現度も高かったように思う。
では、なぜ評価が低かったのか。それは、実写化された本作を手掛けた福田雄一監督をはじめとした「福田組」の演出だ。
まず本作はミュージカル調の演出であるが、これが不評だった。ミュージカル要素を入れた背景として、福田監督は「ヲタクじゃない人たちにも見てもらうための策として入れた 」と語っている。しかし、原作ファンを置き去りにすると同時に「ミュージカルにすることで幅広い層が来る」ということもなく、失敗に終わった。
また、福田監督ならではのギャグシーンも今作では不評だった。原作もコメディ要素の強い作品ではあるものの、福田組ならではの独特の間やアドリブっぽい演出が多く、原作との食い合わせが悪かったと言えるだろう。
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