映画『天空の城 ラピュタ』(1986)
1.「ハトと少年」
映画『天空の城ラピュタ』には、テクノロジー、戦争、破壊といった深いテーマが混在する。しかし、宮崎駿と久石譲が得意とするのは、人間の欲望が織りなす混沌の中に平和を見出すことである。
主人公のパズーは一人トランペットを持ち、スラッグ渓谷のある小さな鉱山町の目覚めを告げるために「ハトと少年」を演奏する。「ハトと少年」のメロディーはシンプルではあるが、説得力を持つ。
平和なひと時に飛び交うハトが印象的なこのシーンは、人間同士の争いなどといった不安要素を含む本作を引き締める効果がある。
映画『天空の城 ラピュタ』には、「空から降ってきた少女」などの名曲が含まれるが、「ハトと少年」の方がより本作の美しさや、シリーズ全体の印象をよく表現している。
久石の音楽はどれも美しい。しかし中でも「ハトと少年」は、スタジオジブリと宮崎駿のための久石譲の最高傑作だと言えるだろう。
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