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映画『風立ちぬ』(2013)

8.「旅路(夢中飛行)」

© 2013 Studio GhibliNDHDMTK

映画『風立ちぬ』(2013)は、宮崎駿監督の引退作品とし劇場公開が行われた(宮崎監督がこのような発表をしたのは、これが最初でも最後でもない)。そのため、スタジオジブリに込められている多くの人の想いや、伝承が映画『風立ちぬ』には盛り込まれている。

サハラ砂漠に吹く「熱風」を意味するイタリア語「ギブリ」。その「熱風」の名を持つイタリアの戦闘機『AMX・ギブリ』が、実のところ「ジブリ」という名の由来だ。このことからも宮崎駿が『風立ちぬ』のテーマである飛行機を敬愛していることは周知の事実である。

映画『風立ちぬ』は、イタリアの航空機メーカーの先駆者ジャンニ・カプローニに憧れ、ゼロ戦の設計者となった堀越二郎の半生を通し、混乱期の日本を描いた作品であり、田舎に育った少年・堀越二郎が、飛行機の設計士になることを志す姿が描かれている。

本作では飛行機に纏わる仕事や商売の本質や根幹を掘り下げる。主人公の堀越二郎が幼少期より夢に見ていた飛行機作りは、結果的に戦争という形で使用され、国を滅ぼし、多くの人々の命を奪った。

美しくも狂気をはらむ人の夢。その中に必ず存在する影や毒を隠さずに表現した本作は、数多くの批評家から高い評価を獲得した。

本作で使用される久石譲の「旅路(夢中飛行)」は、主人公の堀越二郎の飛行機を作るという夢が浮き沈みし、不安定に揺れ動く様子を表現している。久石譲の音楽は、本作の感動的な物語をより味わい深いものにしている。

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