映画『ハウルの動く城』(2004)
3.「人生のメリーゴーランド」
「人生のメリーゴーランド」は、宮崎監督の映画『ハウルの動く城』が残した名曲だ。映画『ハウルの動く城』では、嫉妬深い荒地の魔女の手により、90歳の老婆にその姿を変えられてしまった若い女性ソフィーの姿が描かれている。
自分の身に起きた状況を少しずつ受け入れながら、若さを取り戻そうと苦悩する彼女の不思議な物語は、久石の「人生のメリーゴーランド」によってより味わい深さが増す。
作中では、老婆に変えられたソフィーは自分に自信を取り戻すような場面で姿が若返る。
そんな「少女の自分」と「老婆の自分」を行き来することになったソフィーや、様々な顔を持つハウルの感情の変化、人生や時間が流転する様をワルツに乗せて表現されたこの曲が本作の見事な映像と物語と合わさると、全体の理解がより高まるだろう。