11人殺し 北一幸(演:野間口徹)
表向きは司法書士だが、その裏で快楽の為に殺人を行うシリアルキラー。初登場の5年前に足がつかないように売春婦を狙い4件の連続殺人を犯した実績を持つ。特に美しい女性に対しては殺害時に顔を切り刻むといった残虐な嗜好をもっている。
そんな彼は2度登場。初登場はS14「陣川という名の犬」。
末期癌と診断され余命2ヶ月の宣告を受けた北は、5年の沈黙を破り、今回は本当に殺してみたかった女性を対象に行動を開始。新たに3つの殺人事件を起こし捜査一課により逮捕されるも、その中の1件で別の人物の罪を庇っていたことが特命係により暴かれる。
2度目の登場はS15「ギフト」
治療で奇跡的に一命を取り留めた北は病院から逃亡。前回の事件で誰かの為に人を殺すという事に快楽を覚えるようになり、獄中で支援者から依頼されていた殺人を実行し5名を殺害する。最終的には6名目を拷問し殺害する寸前で特命係により逮捕された。
北の魅力は“矛盾した2つの要素”を持ち合わせているという点にある。
上述したように、かねてから北は、殺害後に”美しい女性”の顔を切り刻むことを好む一方、2回目の登場以降は、誰かの為に殺人を犯し、依頼者から感謝されることに快感を覚えるようになる。人を人とも思わない残虐性と感謝されることを求める善人性。その2つの軸をもった北は、『相棒』シリーズの単独犯では最大となる11人もの犠牲者を生んだ。
作中で彼は性同一性障害に悩んでいた男性を殺害し、彼の顔を性別の区別ができないほど激しく切り刻んで「アナタは美しい女性である」と優しく肯定するような犯行も行っている。
やっていることは残酷きわまりないが、発しているメッセージは優しい。矛盾した2つの面を共存させた北には、おぞましさと同時につい魅力も感じてしまう。