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『ゴジラ』(1954年)は戦争の権化なのか?

考察③ゴジラが再現しているのは東京大空襲である

映画『ゴジラ』の劇中写真
ゴジラ1954の劇中写真Getty Images

上映時間:97分
監督:本多猪四郎
原作:香山滋
脚本:村田武雄、本多猪四郎
キャスト:宝田明、河内桃子、平田昭彦、村上冬樹、小川虎之助、林幹、恩田清二郎、鈴木豊明、山本蓮、志村喬、堺左千夫、笈川武夫、榊原啓二、高堂国典

【作品内容】

太平洋の沖合いで船舶が次々に沈没する事件が発生。

数少ない生存者が、巨大な怪獣の目撃談を語るなか、古生物学者の山根博士(志村喬)や助手で娘の恵美子(河内桃子)、その恋人である尾形(宝田明)らで結成された調査団が事件現場近くに浮かぶ大戸島に派遣され、やがて彼らの前に怪獣が姿を現す。

島の古い言い伝えから「ゴジラ」と命名された怪獣は、密かに生き残っていた太古の生物が、繰り返される水爆実験の放射能の影響で目を覚ましたものであるとされ、対応策が練られる。

しかし、その強大な力に人間たちは成すすべもなく、東京に上陸したゴジラは街を火の海に変えていく。

その頃、山根博士の愛弟子である科学者の芹沢(平田昭彦)は、ゴジラにも有効な恐るべき発明を実現させていた。その技術がいつか悪用されることを恐れ、使用をためらっていた芹沢だったが……。

【注目ポイント】

初代ゴジラの行動には、都市の明るさに反応する描写が描かれており、これは夜間に光を求める生物的な特性を表しており、自然界の生物が人工的な光や熱に引き寄せられる現象を反映していると解釈できる。

そしてゴジラによる被害は戦時中の東京大空襲を彷彿とさせ、背中の背びれはビキニ環礁の核実験による影響を暗示している。

一方、芹沢博士がゴジラを倒すために自らの命を絶つという選択は、科学者としての責任と戦争の悲惨さに対する深いメッセージを持っている。

オキシジェンデストロイヤーの使用は、新たな脅威への恐れと戦争の終結に向けた切実な願いを象徴しているのだ。

本作は、ただの怪獣映画ではなく、戦争の記憶、科学技術の進歩とその倫理、そして人間と自然の関係についての深い探求を提供しており、本作は戦後日本の文化的、歴史的背景と深く結びつけ、当時の社会情勢を反映した作品であることが伺える。

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