脚本を書き変えさせるほどの演技力を発揮
堺雅人『プロメア』(2019)
【作品内容】
炎を操る能力を持った新たな人類、バーニッシュが現れてから、全世界の半分が破壊された。それから30年後、世界では「マッドバーニッシュ」と名乗る者が放火テロを続けている。
これに対抗するため、自治共和国プロメポリスではバーニッシュに特化した高機動救命消防隊が設立された。その一人である熱意溢れる新人隊員ガロ・ティモスは、ある日高層ビルの火事のミッションで、マッドバーニッシュのリーダーと対面する。
【注目ポイント】
TRIGGER制作で2019年に公開されたアニメ映画『プロメア』。当時、熱烈なファンが多く、公開中にパンフレットを何度も重版するほど人気となった作品だ。
まず本作の脚本家は古田新太をはじめとした役者によって旗揚げされた劇団新感線の作家・中島かずきだ。そのため、今作では舞台出身の俳優が多く起用された。
古田新太、松山ケンイチ、早乙女太一などが主要キャラクターの声を務めている。なかでも評価が高かったのは、自治共和国プロメポリスの司政官・クレイを演じた堺雅人だ。
今石洋之監督は「度肝を抜かれた」といい、堺雅人の演技に合わせてキャラを描き直したという。まさに“怪演”といった調子で、ファンからの評価もかなり高い。
堺雅人は今作を演じるに当たって、クレイというキャラクターを徹底的に深掘りしている。
クレイの熱は過去のものではなく、ずっと燃え続けている。それは、自己へのモヤモヤした思いや悩みなど、“自分と世界との摩擦”で燃えているんだ…と、終盤に進むにつれて豹変していくキャラクター性を役に落とし込んだうえでアフレコに臨んでいるのがよく分かる。
その結果、公開直後は「堺雅人」の三文字がSNSを席巻。すべてを持っていくほどの演技力を改めて世間に知らしめることになった。