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大人への第一歩
成長することの寂しさと喜び

『トイ・ストーリー3』(2010)

映画『トイ・ストーリー』
映画トイストーリーGetty Images

製作国:アメリカ
監督:リー・アンクリッチ
脚本:マイケル・アーント
出演者:トム・ハンクス(唐沢寿明)、ティム・アレン(所ジョージ)、ジョーン・キューザック(日下由美)

【作品内容】

カウボーイ人形のウッディ(トム・ハンクス)やバズ・ライトイヤー(ティム・アレン)の持ち主・アンディ(ジョン・モリス)は、大学進学が決定し、思い出のおもちゃを整理することになる。

しかし母親(ローリー・メトカーフ)の手違いなどにより、おもちゃたちは近所の保育園に寄付されてしまう。アンディに捨てられたと思いこみ傷心のおもちゃたちだったが、ただ一人、ウッディはアンディを信じて保育園からの脱出を試みる。

【ラストシーンは…】

命からがら部屋に戻ったウッディ達は、新しい環境へ行くアンディから、お互いに離れるべきだと悟り、アンディにメモを残す。それを見たアンディは、新たな持ち主の少女・ボニーに譲ることを決意する。

アンディはボニーに、愛に溢れた紹介を一体一体丁寧にし、大切にしてくれると約束をする。そして大学を目指し遠ざかるアンディの車を眺めながら、ウッディも彼に別れを告げた。

【注目ポイント】

本作のラストシーンは、長年愛されてきたウッディたちと、持ち主であるアンディの心温まる別れが描かれている。

アンディが大学進学のためにウッディたちと別れを告げ、新たな持ち主となるボニーにウッディたちを託す。このシーンは、成長と別れ、そして新しい出会いを表現している。特にアンディがウッディをボニーに託す瞬間は、アンディの子供時代の終わり、そして大人への第一歩を象徴しており、観客に滂沱の涙をもたらした。

感動ポイントは、アンディがボニーに一つ一つのおもちゃを渡す際、それぞれに込められた愛情と思い出を語る描写だ。

臆病者のレックスは「地球上で一番恐ろしい恐竜」、おっとり者のハムは「悪者ドクター・ポークチョップ」と性格と真逆の説明をし、エイリアンの3体は、アンディが小さい時に憧れていた場所「ピザ・プラネット」からの使者だと戯け、バズ・ライトイヤーは、「最高にかっこいい!」とボニーと2人、興奮を分かち合う。

この紹介には、1995年に公開された第1作目から、およそ25年の時を経て本作につながるため、トイ・ストーリーと共に成長した観客たちは、感情移入がピークに達し、涙を抑えるのはもはや不可能。

このアンディとボニーのやり取りは、おもちゃたちだけでなくアンディ自身にとっても大切な瞬間であることを描いており、アンディがウッディたちへの想い出や繋がりを、ボニーという新しい持ち主に引き継いでいく様子は、観客にとっても感慨深いものである。

またこのシーンは、観客自身の経験や思い出、そして人生の変化について考えさせられるシーンである。つまりアンディの成長とウッディたちとの別れは、誰もが経験する子供から大人への成長の痛みと寂しさを描きながらも、新しい人生が始まることの喜びを表現している。

本作のラストシーンは、成長の喜び、別れの寂しさ、そして新しい出会いの楽しみを表現しており、観客の心に深く残る名シーンであり、観客に人生の大切な瞬間を思い出させてくれる。

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