必死に今を生きる大切さ。
人生の儚さ美しさを問いかける
『レナードの朝』(1990)

製作国:アメリカ
監督:ペニー・マーシャル
脚本:スティーヴン・ザイリアン
出演者:ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズ
【作品内容】
ニューヨーク、ブロンクスにある慢性神経病患者専門の病院に赴任したセイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ)は、話すことも動くこともできない患者たちに反射神経が残っていることに気づき、訓練によって彼らの生気を取り戻すことに成功する。
ある日彼は、30年前にこの病院に入院して以来ずっと眠り続けている嗜眠性脳炎の患者レナード(ロバート・デ・ニーロ)に、まだ認可されていないパーキンソン病の新薬を投与する。そしてある朝、レナードはついに目を覚まし、奇跡の回復を果たす。
【ラストシーンは…】
本作のラストシーンは、今をどう生きるかということを、深く考えさせられる描写となっている。
薬効が切れレナードは元の状態に戻ってしまう。セイヤー医師の機転の効いた処置が最終的には失敗に終わる。彼を救えなかったことに、耐え難いほど罪悪感と悲壮感があっただろう。しかし、ラストシーンで彼は、いつも自分を気にかけてくれていた看護師をお茶に誘う。
本作は、30年ぶりに目を覚ましたレナードの、母親との再会、初恋や初デートを描く。自分と同様の患者を救うために、自ら研究材料として記録を頼むレナードは、今という瞬間を必死に生きることの大切さを体現している。
当たり前に生活できることが幸せなのではなく、自ら動くことが幸せに繋がるということを、セイヤー医師はレナードから学ぶのだ。
映画が終わった後も、セイヤー医師とレナードの2人から得た喜びや悲しみを、自分自身の人生に反映させ、力強く生きていきたい。そう思わせてくれる名ラストシーンである。