夢を追いかけることの大切さと
人生に大切なことを教えてくれる
『リトル・ダンサー』(2000)
製作国:イギリス
監督:スティーブン・ダルドリー
脚本:リー・ホール
出演者:ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ、ゲイリー・ルイス、ジェイミー・ドラヴェン、アダム・クーパー
【作品内容】
イングランド北東部の炭鉱町で母を亡くした11歳の少年ビリー(ジェイミー・ベル)は、炭鉱労働者の父(ゲイリー・ルイス)の命令でボクシング教室に通わされている。
ある日、偶然目にしたバレエ教室のレッスンに興味を抱いたビリーは、女の子たちに混じってレッスンに参加するようになる。
バレエの先生ウィルキンソン(ジュリー・ウォルターズ)は、ビリーにダンサーとしての才能を見い出し、彼女の熱心な指導のもとでビリーはめきめきと上達していくが、親子には亀裂が走る。追い討ちをかけるように、兄・トニー(ジェイミー・ドラヴェン)はストライキの首謀者として逮捕されてしまう。
あるクリスマスの夜、苛立ったビリーは父親の前でバレエを踊る。その才能に確信した父は、亡き妻の形見を質屋に入れ、ビリーはロンドンのロイヤル・バレエ学校を受験し、見事合格する。
【ラストシーンは…】
14年後、父親とトニーが駆けつけ、着席した瞬間に、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲のバレエ音楽『白鳥の湖』が流れ始め、大人になったビリーが「白鳥の湖」を舞い踊り、幕を閉じる。
【注目ポイント】
本作のラストシーンは、一流のバレエダンサーとして成長を遂げたビリーが主役であるプリンシパルとして、父親や兄、そして友人の前でバレエを舞うシーンで幕を閉じる。
ビリーや家族の苦労、それまでの想いを知る我々にとって、成長したビリーの姿、そして躍動感は未来への希望そのものであり、夢を追い続けることの大切さ、そして自分を支えてくれる家族や友人の大切さを実感させ、観客に深い感動を与えてくれる名シーンである。
またビリーに対して深い愛情を示した父親と兄、そして変わらぬ友情を誓った友人らが一同に集まっているシーンも、ビリーが多くの人に愛されているということがわかり、感動するポイントであることは間違いない。
観客は、家族や友人のビリーに対する愛情を知っているからこそ、ラストシーンでプリンシパルとして成長したビリーの姿を見て、深い余韻と感動に浸ることができるのだ。
例え周囲から馬鹿にされても夢を追い続けることの大切さ。そして支えてくれる家族や友人の存在のかけがえのなさ。人生においてこれらに勝るものはない。そうしたメッセージを決して臭くならずに、真っすぐ表現する。映画史に残る名ラストシーンである。