魔法はあくまで補助。安達の意思で黒沢のピンチを救う
自己肯定感が低かった安達が黒沢の心の声を聞くうちに自信を持つようになり、同時に黒沢に惹かれていく心の動きが細やかに映し出される本作。安達の心が大きく動く瞬間は、アニメでも強く伝わってくる。
心を読める魔法により聞こえてくる様々な声に精神を消耗するなかで、黒沢の声は安達にとって特別なものだった。安達を大切に想っている黒沢の声は、最初から嫌なことがひとつもなかったのだ。
黒沢の恋心を知った当初は戸惑いが大きかったようだが、一緒にいると楽しいと感じていた安達。けれど、黒沢の好意にこのまま甘えていいのかと悩み、黒沢の本気に応えられないのにと少し距離をとろうともしていた。
しかし、安達はやはり黒沢を放っておくことができず、安達から黒沢に手を差し伸べ、自ら彼の心に寄り添っている。
黒沢が仕事でピンチに陥ったとき、安達は困っている黒沢を助けたいと自ら動いていた。安達にとって、魔法があってよかったと初めて思えた瞬間である。とはいえ、魔法の力はあくまで補助であり、黒沢を救ったのは安達の意思だとも言える。
そして、飲み会でキスをすることになった場面。こわばる安達を見て唇ではなく額にキスをした黒沢だが、その心の中では傷を負っていた。安達は恋愛経験がないことを打ち明けて、黒沢からのキスが嫌じゃなかったと伝えている。
この時点では恋なのかどうか自身の気持ちが分からない安達だったが、黒沢を助けたいのも、黒沢の悲しむ顔を見たくないのも彼の本心なのだ。