魅力的なキャラクターに癒される
安達は黒沢の心に何度も触れ、もっと知りたいと思うようになっていくなかで、黒沢に対して“可愛いかも”という感情も芽生えていく。完璧を装う黒沢も安達の前では格好つかないことがあり、そんな黒沢が安達にとっては可愛いのだ。
そして安達の心に強く刺さったのは何と言っても、“安達の初めてが全部俺なんて 絶対 絶対全部大事にするのに” という黒沢の本気の想いなのだろう。安達を大切にしたい黒沢の本心は、恋愛経験がない安達のトラウマやコンプレックスをも昇華している。
安達は“全部の初めてをこいつとしてもいいかもしれない”と思ってしまうほどに心を動かされており、自身の想いを自覚するようにもなっていた。
この季節ならではの演出が秀麗で、桜の花びらが舞い込む描写にも心奪われる。距離がグッと縮まった桜の季節は、安達と黒沢にとってこれからも特別なものとなりそうだ。
キャラクターの解釈も非常に深い作品で、安達や黒沢だけでなく、リアクションが面白すぎる真面目な柘植将人、見た目の印象とのギャップが魅力でもある努力家の綿矢湊など、それぞれ人物像がきちんと確立している。柘植の心からの言葉もまた、胸に響いていく。
くろあだ(黒沢×安達のカップリング)を全力で推す腐女子の藤崎さんの突き抜けたテンションや、チャラいけど根は良い奴だと分かる六角祐太、信頼できる上司・朝比奈さんなど安心できるキャラクターたちにも癒やされる。