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随所に散りばめられた小ネタのかずかず

『猫の恩返し』劇中写真
© 2002 Aoi HiiragiReiko YoshidaStudio Ghibli NDHMT

本作は小ネタが満載の作品でもある。これも事前に知っておくと作品がより楽しめるだろう。

例えば主人公のハルは、アクティブで活動的な『耳をすませば』の主人公雫とは対照的に描かれている。また、『耳をすませば』関連でいえば、猫の事務所のシーンではバロンの恋人であるルイーゼの肖像画が登場する。

また、もともと本作を『耳をすませば』の「映画内映画」として描く案もあり、エンドロールには、もともと『耳をすませば』の月島雫と天沢聖司が登場して試写会で拍手する映像が入る予定だったともいわれている。こういった案は、『パーフェクトブルー』(1997)や『パプリカ』(2006)で知られる今敏監督作品に参加していた森田ならではといえるかもしれない。

ちなみに、筆者お気に入りの小ネタは、「ハルが通うロッカーに『庵野』『貞本』と名前が書かれている」というものだ。庵野・貞本といえば、やはり『新世紀エヴァンゲリオン』ファンとしては庵野秀明・貞本義行コンビを連想せずにはいられない。ぜひ注目してご覧いただきたい。

かわいらしさ、深み、ユーモア。この3要素を兼ね備えた本作は年間興行収入1位も納得の出来で、今観ても面白い作品に仕上がっている。ぜひ家族や友人と楽しんでいただきたい。

(文・ジュウ・ショ)

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