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史上最悪のエンディング…。絶望的なラストシーンで有名な映画5選。世界的に評価の高い名品ばかりをラインナップ

今回は、バッドエンディングで知られる作品の中から、世界的に評価の高い作品をセレクト。一筋の希望も見出せない、絶望的なクライマックスで観る者の心をズタズタに引き裂く作品が勢ぞろい。観終わったあと、席を立てなくなるほどの衝撃が味わえるはず。

ショッキングな内容にイギリスで発売禁止運動も
オーストリアの巨匠による胸糞映画の傑作

『ファニーゲーム』(1997)

原題:Funny Games
製作国:オーストリア
監督:ミヒャエル・ハネケ
脚本:ミヒャエル・ハネケ
キャスト:スザンヌ・ロタール、ウルリッヒ・ミューエ、アルノ・フリッシュ、フランク・ギーリング

【作品内容】

とある夏の日。ショーバー一家はバカンスを過ごすために別荘へと車を走らせる。別荘に着いた一家は、白い手袋を着けた2人組の若者の訪問を受け入れるが…。第50回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出されるも、公式上映ではあまりの凄惨な内容に賛否両論を巻き起こした。監督を務めたのは、オーストリアを代表する巨匠、ミヒャエル・ハネケ。

監督を務めたミヒャエルハネケ監督中央Getty Images

【注目ポイント】

どこまでも理不尽で、救いのない展開。これまで世界中で制作された映画を対象に“不条理映画祭”を開いたら、たぶん上位入賞は確実―。そんな作品が、この「ファニーゲーム」である。

本作は、「白いリボン」でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したミヒャエル・ハネケの長編4作目。カンヌ映画祭に出品された際には、観客がショックのあまり続々と席を立ち、イギリスではビデオの発売禁止運動まで起こったという作品である。

一部では、「人を不快にするためだけに作られた映画」とも称される本作。しかしそこは名匠ハネケ、過去作にも見られたような映像メディアに対する鋭い批評眼が随所に光る。例えば、本作に登場する殺人シーンは、全てフレームの外で遂行される。ここからは、表層的な記号のみが氾濫する映像メディアへの彼の深い思索が垣間見える。

さらに、本作で描かれる二人の客人による“圧倒的暴力”は、災害や戦争といった、私たちの生活に突然やってくる超越的な暴力のメタファーとして考えることもできるかもしれない。そう考えると、途端に彼らが“神聖なる来訪者”に見えてきやしないだろうか。

―いや、実のところ単なる「胸糞映画」なのかもしれないが。

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