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カンヌ国際映画祭でパルムドール受賞
どこにも救いのない鬱ミュージカル映画

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』

原題:Dancer in the Dark
製作国:デンマーク
監督:ラース・フォン・トリアー
脚本:ラース・フォン・トリアー
キャスト:ビョーク、カトリーヌ・ドヌーヴ、デヴィッド・モース、ピーター・ストーメア、ジャン=マルク・バール、ヴラディカ・コスティック、カーラ・セイモア、ジョエル・グレイ、ヴィンセント・パターソン、ジェリコ・イヴァネク

【作品内容】

アメリカの小村。移民のセルマ(ビョーク)は、息子のジーン(ヴラディカ・コスティック)と貧しいながらも幸せに暮らしている。元々視力が弱いセルマだったが、持病に拍車がかかり、医者から「1年以内に失明する」と宣告される。さらに遺伝により、ジーンもまた13歳までに手術をしないと、いずれは視力を失うことが判明するのだった…。

第53回カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した、鬼才、ラース・フォン・トリアー監督の長編第6作目。主演のビョークをはじめ、フランスを代表する女優、カトリーヌ・ドヌーブをはじめとした国際色豊かな豪華キャストの共演も話題を呼んだ。

【注目ポイント】

どこか閉塞感の漂う画面、救いのないストーリー展開ー。鬱映画といえば必ず話題に上がるのが、この『ダンサー・イン・ザ・ダーク』である。

監督は『奇跡の海』などの作品で知られるデンマークの映画監督・ラース・フォン・トリアーで、主演はアイスランドの世界的歌手・ビョーク。彼女の自然な演技と歌声は、大きな注目を集めた。

主演を務めたビョークGetty Images

さて、本作はミュージカル映画である。しかし、主人公・セルマが直面する現実は、貧困や差別などさまざまな問題で溢れており、ハリウッドのハッピーなミュージカル映画とは一線を画している。彼女にとっては、こういったミュージカルシーンは、辛い現実から逃避するための術なのだ。

トリアーは、きらびやかなミュージカルシーンとの差別化を図るため、辛い現実のシーンを全編手持ちカメラで撮影している。ここには、アンチハリウッド映画を標榜するデンマークの映画運動「ドグマ95」(手持ちカメラの使用や35mmフィルムでの上映など、10のルールを取り決めた“純潔の誓い”)の影響が垣間見える。

そう、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は、単なる鬱映画ではない。ミュージカルの新地平を切り拓く全く新しいミュージカル映画なのである。

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