『シャイニング』(1980)
上映時間:119分
製作国:アメリカ
監督:スタンリー・キューブリック
脚本:スタンリー・キューブリック、ダイアン・ジョンソン
キャスト:ジャック・ニコルソン、シェリー・デュバール
【作品内容】
ホテルの管理人として、冬の期間閉鎖されるホテルへ妻と息子と共にやってきた作家志望のジャック。そこは過去に、管理人による家族惨殺事件が起きたホテルだった。次第に彼自身も邪悪な狂気に飲み込まれていく……。
スタンリー・キューブリック監督の名作ホラー。扉の裂け目から顔を出したジャック・ニコルソンの不気味なジャケットは有名。内容が原作と大きく異なることから、原作者のスティーブン・キングは本作を批判している。
ミミカ・モーフ 推薦コメント
スタンリー・キューブリックがメガホンをとった、スティーブン・キングの小説を原作としたあまりにも有名なホラー映画。
映画として健闘してはいるのだが、個人的には原作と比較した場合、駄作であると思う。とはいえ、今回は冬に関わる演出にフォーカスしていきたい。
原作の『シャイニング』は超能力シャイニングを中心とした、家族愛のストーリーである。原作では家族の間のわだかまりが氷解していくといった内容が描かれるのだが、映画版では家族間の溝は埋まらず、氷が氷のまま凍結されて終わってしまう。
逆に言えば、猛吹雪の中で閉じ込められた母と子が、おかしくなってしまった父親に追われる様子は、雪と自然の逃げ場のなさと閉鎖された空間によってすこぶるスリリングな効果を上げている。
ラストシーンにおける、ホテルから逃げ出した後、庭の迷路で雪の足跡を利用した機転の効いた発想は、冬ならではの回避方法。その点の描写も含めて、是非映画版の『シャイニング』は冬にこそ観てほしい作品となっている。