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巨大企業・マクドナルドはいかにして成功を収めたのか?

『ファウンダー ハンバーガー 帝国のヒミツ』(2016)


出典:Amazon

原題:The Founder
製作国:アメリカ
監督:ジョン・リー・ハンコック
脚本:ロバート・シーゲル
キャスト:マイケル・キートン、ニック・オファーマン、ジョン・キャロル・リンチ

【作品内容】

マクドナルドがどのように生まれ、いかにして世界的なハンバーガーチェーンに成長したのかを描いた実録ヒューマンドラマ。監督を務めたのは、クリント・イーストウッド監督『パーフェクト・ワールド』(1993)の脚本を務め、『オールド・ルーキー』など数々の名作のメガホンをとった、ジョン・リー・ハンコック。

【注目ポイント】

実はマクドナルドの創業者と、世界最大級のファーストフードチェーンに育てた人物は違う。この映画は、レイ・クロックという後者の実在のビジネスマンに焦点を当て、彼の目線でマクドナルドが全米で市民権を得ていく過程を描いていく。

ストーリーは、1954年のアメリカから始まる。主人公のレイ・クロック(マイケル・キートン)は、シェイクミキサーのセールスマンとして中西部を回る52歳のしがない中年ビジネスマン。再起を賭けるも泣かず飛ばずで、妻との仲も微妙だ。

ところがある日、ミキサー8台のオーダーが突如として入る。好奇心旺盛なレイは発注者のもとに向かうが、そこはディックとマックのマクドナルド兄弟が経営するハンバーガー店「マクドナルド」であり、店には長蛇の列ができていた。

映画ファウンダー ハンバーガー 帝国のヒミツは超巨大企業マクドナルドの創成期を描いているGetty Images

初めは行列にうんざりした表情を浮かべるレイだったが、次第に注文から食事が提供されるまでの回転が異様に速いことに気づく。

ドライブインを常用し、最低のサービスで食事をすることに慣れていたレイは、注文して30秒で美味しいバーガーが正確に出てくることに驚き、その裏側には厨房で合理性を限界まで追求したハンバーガー提供システムがあることを知る。

すっかりマクドナルド兄弟のアイデアと経営理念に心酔したレイは、2人をディナーに誘って親交を深めることに成功。やがてコスト削減・高品質というマクドナルドのスタイルにビジネスの勝機を見出したレイは、壮大なフランチャイズビジネスを思いつく。

マクドナルド兄弟は既にフランチャイズを手掛けていたものの、品質保持を優先して店舗の拡大には積極的ではなかった。レイは兄弟と契約し、本格的なフランチャイズ化に乗り出すが、その手法は強引そのもの。品質を優先する兄弟はレイのアイデアにことごとく「NO」を突きつけるも、レイはそれに抵抗し、自ら描いたビジョンに向かって突き進む。

その過程で両者の溝は決定的となる。ずる賢いレイに出し抜かれた兄弟は、最終的に、自分たちの店舗で「マクドナルド」の名称を使うことすら禁じられ、レイは創業者でもないのに自らマクドナルドの「ファウンダー」を名乗る。

この映画では、レイは兄弟のビジネスを乗っ取った存在として偽悪的に描かれている。物語の終盤、レイに全面的に敗北し、肩を落とした兄弟の後ろ姿には同情を禁じ得ない。

確かに人間模様の側面から見れば、レイは悪役だろう。しかし、この映画を「イノベーション」という側面から見れば、また違った様相を呈してくる。

結論を言えば、現在のマクドナルドのビジネスの礎を築いたファウンダーは間違いなくレイである。マクドナルドの「M」をかたどった象徴的な黄色いアーチを、裁判所の国旗や教会の十字架と同じようにアメリカ全土、ひいては世界中に浸透させるという壮大なビジョンを描き、それを実現するためのビジネスイノベーションに取り組んだのが彼だからだ。

フランチャイズのオーナーたちは、片手間に店舗を経営するような金持ちばかり。彼らに任せたのではうまくいかないと考えたレイは、あたかも「聖職者」のように実直にビジネスに取り組む中間層の夫婦にターゲットを絞り、新しい形のフランチャイズビジネスを展開していく。

加えて、不動産を本部が購入し、フランチャイジー(オーナー)にリースするアイデアも画期的。そうすることで、新規参入のフランチャイジーは土地購入分の初期投資を抑えることができ、参入の障壁が大幅に低くなるからだ。これらをはじめとするレイのビジネスイノベーションがあったからこそ、マクドナルドは成功したといえよう。

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