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令和版「凶暴な男」はあの俳優!? 「世界のキタノ」は処女作から凄かった

『その男、凶暴につき』(1989)

1999年の北野武
1999年の北野武監督Getty Images

上映時間:103分
監督:北野武
脚本:野沢尚
出演:ビートたけし、白竜、川上麻衣子、岸部一徳、芦川誠、佐野史郎

【作品内容】

捜査のためなら暴力も辞さない我妻諒介は、警察でも危険視されていた。ある日、港でドラッグの売人の他殺体が発見される。新人刑事の菊地とともに捜査を開始する吾妻だったが、やがて巨大な闇組織と戦うことになる。

【注目ポイント】

 本作は、「世界のキタノ」と呼ばれた国民的映画監督、北野武の第一回監督作品。出演者には、ビートたけしのほか、白竜や川上麻衣子、佐野史郎、平泉成、岸部一徳らが名を連ねている。

 お笑い芸人ビートたけしとして頂点を極めた北野は、自身の「お笑いの間」を「暴力の間」に昇華させることで、処女作にしてシャープかつ鮮烈な暴力表現を打ち出している。特に、北野演じる吾妻が役の売人を繰り返し平手打ちを食らわせながら尋問をするシーンや、流れ弾が通りすがりの少女の頭を貫くシーンは、後の映画表現に多大な影響を与えた。

 また、殺し屋の清弘役の白竜や、黒幕である仁藤役の岸部一徳など、意表をついたキャスティングも本作の大きな魅力の一つ。特に白竜は今でこそ悪役が定着しているものの、当時は尾崎豊ばりのロッカーで、どちらかというと清純なイメージだっただけに本作の衝撃は大きかった。

 もし本作を現在にリメイクするとすれば、主演は柳楽優弥で決まりだろう。Disney+のドラマ『ガンニバル』(2022)に登場する暴力警官・阿川大悟や『ディストラクション・ベイビーズ』(2016)の芦原泰良など、暴力的な役を数多く演じてきた柳楽は、明らかにビートたけし演じる「凶暴な男」の系譜に属する役者だ。

 そして何より柳楽は、Netflix映画『浅草キッド』(2021)で若き日のビートたけしを演じている。ビートたけし演じる吾妻を柳楽に脳内変換しながら見てみるのも悪くないかもしれない。

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