17歳の長澤まさみが等身大の高校生を演じる
『深呼吸の必要』(2004)
監督:篠原哲雄
脚本:長谷川康夫
出演者:香里奈 谷原章介 長澤まさみ 成宮寛貴
【作品内容】
沖縄のとある離島で、サトウキビを刈るバイトに5人の男女がやってくる。初心者である5人は慣れない仕事にもたつくばかり。おまけに、バイトの常連・田所豊偉そうに振る舞う豊にも苛立ちを募らせていく。
監督は『昭和歌謡大全集』、『はつ恋』などの篠原哲雄。脚本は『卒業』、『空母いぶき』の長谷川康夫。主題歌はMy Little Loverが担当し、作品の雰囲気を盛り上げている。当時、長澤まさみは『世界の中心で、愛をさけぶ』とのかけ持ちで撮影していた。
【注目ポイント】
長澤まさみは、無口な高校生・加奈子を演じる。加奈子は誰とも馴染もうとせず、黙々とサトウキビを刈り、周囲と距離をあけている。今作品での長澤まさみは、ほとんどセリフがない。しかし、言葉を発さなくてもわずかな表情の変化や目線などで、加奈子の不器用さや葛藤などを表現し、内面に闇を抱えた難しい役を見事演じ切って見せた。
序盤のシーンでは、警戒心が強く、険しい表情が多い。しかし、おじいやおばあといる時はどことなく穏やかな表情を出して、少しずつ心を開いてきている様子が感じ取れる。終盤には、女子高生らしいキラキラした笑顔を見せるシーンもあり、加奈子の成長していく姿が表現されている。
撮影当時、長澤まさみはまだ17歳。まだあどけない彼女の表情が堪能できる一作だ。