「ホアキンの『ジョーカー』は俺の芸、パクッてる!」
ヒース・レジャーのジョーカーが特別なワケ
『ダークナイト』(2008)
―――4作目がクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』。世評が高い一作です。
「嫁が試写会のチケットを当てたので、観に行きました。多分、ジャパンプレミアだったんじゃないかな。“ジョーカー”が何なのかもよく知らないで鑑賞したのですが、とにかく度肝を抜かれましたね。何が衝撃的かって、ジョーカーが傷ついている理由が、父親に殴られたとか、嫁との喧嘩とか、そんなに大した理由じゃないんですよ。普通によくあることで、狂気の沙汰に陥っているという(笑)」
―――そこに注目しますか(笑)。
「僕の中では、『ダーティハリー』(1971)の敵役・スコルピオに近い印象がありますね。ジョーカーを見ていると、バットマンがすごくつまらないやつに見えてくるんですよ。なんか、ダメなジョーカーに絶対的な強さを感じると言うか。『マトリックス』におけるネオの無敵感にも通じますかね」
―――興味深いご指摘です。
「その後に作られた映画『ジョーカー』(2019)は、苦手なんですよ。『ダークナイト』とは異なり、ジョーカーが傷ついた理由が、やけに深刻なトーンで描かれていて。とはいえ、その理由も俺から言わせたら、ただの売れないピン芸人が、自分を受け入れてくれない世間に失望して狂ったってだけなの話ですからね。普通の人ですよ(笑)」
―――プロの芸人さんならではの見方ですね。
「だから『ダークナイト』は映画としても、ジョーカーのキャラクター造形の面でも面白いのですが、『JOKER』は、なんかぬるくてダメなんです。でも、今の若者には『JOKER』くらいわかりやすいストーリーのほうが良いのかもしれませんね。あ! あと、ジョーカーが階段でやっている動きあるじゃないですか?(ガッツポーズのような体制で腕を上下に動かす)あれ、僕と同じ動きなんですよ。あれを観たとき『俺の動きパクッて、スベりやがって』と思いましたもん(笑)。実際、ヒャダインさんに、『永野さんが売れていなかったらこうなるという映画があります』と勧められて観ました」
―アハハハ! 永野さんにしかできないお話ですね。
「まあ、『JOKER』もゲイリー・グリッターの楽曲『Rock & Roll Part 2』が流れていたので、面白かった!ということにしますかね~」