小柄で飄々とした“宇宙人・金田一耕助”
中村倫也
中村倫也【Getty Images】
上川隆也や古谷一行など、これまで金田一を演じてきた俳優は、地黒で体格のいい俳優が演じることが多かった。しかし、横溝正史が書いた原作によると、金田一耕助は小柄かつ瘦せ型で、身長は5尺4寸(約164cm)、体重は14貫(約52kg)だという。
しかも、東北出身者らしく色白で、「雰囲気がコウモリに似ている」(『蝙蝠と蛞蝓』)「貧弱なサラリーマンにしか見えない」(『支那扇の女』)のだという。
そこで思い当たったのが、近年、日本テレビの水卜麻美アナウンサーと婚約を発表し大きな話題を呼んだ中村倫也だ。
身長170㎝の中村は、俳優にしてはどこか華奢で線の細いイメージがある。加えて、江戸川乱歩の小説を原作とした『乱歩地獄』(2005)では、浅野忠信演じる明智小五郎の助手である小林少年を演じている。色白で塩顔なため、耽美的な大正ロマンの世界観がよく似合うのだ。
しかも中村は、2023年公開の『宇宙人のあいつ』で、人間に溶け込んだ宇宙人を飄々と演じている。周囲に溶け込んでいながらどこか超然とした中村の雰囲気は、日本の村々をふらりふらりと漂泊する金田一のキャラクターに合っているかもしれない。
自らトークライブを開くなど、コミカルなキャラクターでも知られる中村。頭を搔きながら早口でまくしたてる中村版の金田一が早く見たいものだ。