あざとさと不気味さが絶妙…。背筋が凍るほどの怪演
『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京)松本まりか
前クールの『ミス・ターゲット』(ABCテレビ・テレビ朝日系、2024)で、実はピュアな結婚詐欺師を熱演した松本まりかが、本作では“サレ妻”を怪演している。
『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京)は、高校時代からの純愛の末に結婚した夫が、15年間も不倫しており、もうひとつの家庭を築いていたことが発覚するところから物語がはじまる。この事実に気付いてから、松本演じる如月みのりは壊れはじめる。
自宅の壁に貼られた家族写真を、涙を流しながら笑顔を浮かべ、フォークでめった刺しにしている様子はもはやホラー。また、不倫相手の理子(野波麻帆)が営む美容室へ赴いて、自身が夫と仲がいいことをペラペラと話したり、理子のことを詮索したりする様子も不気味だった。
もっとも戦慄するのは、理子の息子・渉(野村康太)が通う塾のチューターになって近づいたことだろう。そんな禁じ手を…! と驚くのだが、実年齢で約20歳離れた2人の恋愛模様にドキドキしてしまう。誰を前にしてもあざとくあれるあたり、さすが松本まりかである。
12日に放送された第5話では、みのりの出生の秘密が明らかになり、物語が単なる不倫ものだけではなくなってきた。夫の不貞を上回るショックを受けたことで、みのりの精神崩壊にさらなる拍車がかかりそうだ。
松本まりかはもちろん、共演の野波麻帆、麻生祐未も凄まじい。残暑が厳しい夜、背筋をひやりとさせたい方には、ぜひ彼女たちの怪演を観ることをお勧めしたい。