こんな櫻井翔が見たかった! 笑顔の裏に見せる孤独
櫻井翔『笑うマトリョーシカ』(TBS系)
櫻井翔【Getty Images】
高い人気を誇るが、実は何やら裏がありそうな政治家を演じると知ったときは諸手を挙げて喜んだ。そう、これこれ! こんな櫻井翔が見たかった…!! きっとそう思った方も多かったのではないだろうか。
蓋を開けてみれば桜井演じる清家は、笑顔で人前に立ち、堂々とした態度で国民の人気を得ている。だが、記者の道上(水川あさみ)が取材する過程をともに追って行く視聴者にとっては、その笑顔がだんだん顔に張り付いた仮面のように見えてくる。
普段テレビなどで見る桜井の笑顔は、朗らかで優しい。ところが、清家という役を背負った桜井が繰り出す笑顔からは、どことなく空洞を感じる。これは清家が人の思いのままに動くことができるという特殊な性質と、次第に明らかになりつつある過去によるものだ。
人は、時として邪推することを楽しむ。国民的アイドルにしてキャスターをも務めるインテリ。桜井自身が背負うものがあるからこそ、清家の闇深さが2倍にも3倍にも広がっていく。ハマり役、というのは少々気が引けるが、清家という役を演じていることに感謝の意を表したい。