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恋人を意のままに操る謎の女を怪演

『笑うマトリョーシカ』田辺桃子

<div>田辺桃子公式Instagramより</div>
田辺桃子公式Instagramより

 水川あさみ主演ドラマ『笑うマトリョーシカ』(TBS系)で、櫻井翔演じる清家の学生時代の恋人・美恵子を演じた田辺桃子。田辺といえば、これまでにも『リコカツ』(TBS系、2021)や『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系、2021)などで存在感を発揮していたが、今回の美恵子役は強烈だった。

 恋人である清家の特殊な“能力”に気付いた美恵子は、清家を自分に依存させ、思いのままに操る。清家の母親・浩子(高岡早紀)の前でも決していい恋人のふりはせず、彼は自分のものであるという態度を貫く。そのときの蛇のようにまとわりつく視線が忘れられない。

 偽名を使っていたことなどが明らかになるも、現在では行方不明になっている美恵子。ゆえに中盤にはほぼ登場しなくなってしまうのだが、クライマックスに向けて記者の道上香苗(水川あさみ)により明かされた様々な事実とともに、彼女はまたゆらりと姿を現す。

 これが本当に不気味だったのだ。年齢よりも大人っぽく見える田辺が、やや気だるげにしているときに湧きたつ色気は危険な香りがする。

 過去作を並べると、役の幅が本当に広い。これからもその魅力でかき乱してくれることに期待したい。

(文・あまのさき)

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