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ノエチとなっちゃんは団地内の中間管理職

『団地のふたり』最終話 ©NHK
『団地のふたり』最終話 ©NHK

 そして「自分よりも若い人たちとのつき合い」もドラマが教えてくれたことのひとつ。父子家庭で娘が難しい年頃だと相談されれば、真摯に聞くふたり。同性カップルの破局による愚痴、ヤンママのストレス発散など、ふたりは先輩だけではなく後輩の話も受け止めているという、団地内の中間管理職。

 高齢者たちへのケアは然としていて、私たちでさえも行う。が、 おばさんになると、自分よりも若い人と文化を合わせることを、つい食わず嫌いしてしまう。自分たちのペースで生活している方が何より楽だからだ。

 でも彼らは自分にない視座を持っていて、色々教えてくれることがあることを忘れちゃいけない。もっと言えば、いつか自分も下の世代に助けられることだってあるのだから。ふたりのごとく、まずは「聞く」。うまくいかなかったら、また先輩に喫茶店で慰めてもらえばいい。

 書き連ねればキリはないが、最終的に私たち視聴者はいつの間にかあの団地の住人になっていた。最終話、どうやら団地の建て替え計画は進み、なっちゃんは静岡へ? そしてノエチは無職に? と目が離せない。

 騒動が終わって落ち着いた頃。またドラマでふたりに会えますように。

(文・小林久乃)

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