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1作目が面白すぎてハードルが上がってしまった?

『斉木楠雄のΨ難』(2017)

山崎賢人【Getty Images】
山崎賢人【Getty Images】

監督:福田雄一
脚本:福田雄一
原作:麻生周一
出演:山﨑賢人、橋本環奈、新井浩文、吉沢亮、笠原秀幸、賀来賢人、ムロツヨシ、佐藤二朗、内田有紀、田辺誠一

【作品内容】

 PK学園に通う高校生、斉木楠雄(山﨑賢人)。本人としては目立たず、普通の生活を送りたい。しかし、彼が隠しているのはとんでもくやっかいな超能力。

 年に一度の文化祭の日、穏やかに過ごしたいだけの斉木であったが、ワケありのクラスメートたちと関わり合うことで、彼の超能力が無駄に発動。馬鹿馬鹿しい珍騒動の嵐となるのであった!

【注目ポイント】

 2011年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載がスタートし、累計発行部数は600万部を超える人気漫画を原作に、『銀魂』『今日から俺は!!』など、漫画実写化の成功請負人として名高い福田雄一監督がメガホンをとったのが本作である。

 主演の山崎賢人は、それまでのイメージとはガラッと異なるコメディキャラを全身全霊で演じ、観る者を抱腹絶倒の渦に巻き込み、新たな一面を開花させた。そんな彼の才能を見抜き、オファーした福田監督の選球眼もさることながら、満点以上の演技で応えた山崎賢人がなんとも素晴らしい。数ある漫画実写化作品の中でも、屈指の快作と言っていい1本である。興行収入も10億円を超える好成績を残している。

 続編を望む声も多い中、未だ制作されていない理由は、2点あると筆者は睨んでいる。

 1点目は、1作目が原作でも屈指の人気を誇る文化祭のエピソードを取り扱っているため、より面白い続編を作るのに、ハードルがとことん上がってしまったのではないか、ということだ。

 また、原作では、文化祭エピソードは後日談につながるのだが、映画版では、斉木の超能力により「一日前に戻る」という結末を迎えている。つまり、そもそも製作陣は、映画が成功するか否かにかかわらず、最初から続編の選択肢などなく、一球入魂で本作を製作したのではないか。

 とはいえ、原作はショートストーリーの集合体であり、続編を作ろうと思えばいくらでも作れそうではある。続編を望むのはあまりにも贅沢だろうか。

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