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『マスク』、『スピード』、『レオン』!
1994年は稀にみる大豊作だった

ここまで、アカデミー賞史上屈指の激戦となった1995年開催のアカデミー賞の受賞結果を考察してきた。毎年3月に発表されるアカデミー賞は、原則として受賞式が行われる前年の1年間に公開された作品であるということがノミネート条件の一つとなっている。つまり、わざわざ確認するのも野暮だが、1995年のアカデミー賞を賑わせた名作たちは、すべからく1994年に公開されている。

パルプフィクションGetty Images

1994年に公開された映画といえば、今回大きく取り上げた3作品に加え、異色のコメディ映画『マスク』(監督:チャールズ・ラッセル)、ノンストップアクション映画の先駆け『スピード』(監督:ヤン・デ・ボン)、リュック・ベッソンのハリウッドデビュー作『レオン』など、後世に語り継がれる名作が目白押し。

特に『レオン』は、興行的に成功し、批評家からも高い評価を得たにもかかわらず、どの部門にもノミネートされていない。個人的には、薬物中毒の悪徳刑事を演じたゲイリー・オールドマンは、アカデミー賞助演男優賞を受賞してもおかしくない、キャリア屈指の名演を見せていると思う。

ともあれ、大方の映画ファンは、第67回アカデミー賞を振り返る時、『フォレスト・ガンプ』、『パルプ・フィクション』、『ショーシャンクの空に』という稀代の名作3本のデッドヒートを思い出し、『レオン』の不在を嘆くことはしない。そう考えると、第67回アカデミー賞で真に“割を食った”のは、『レオン』なのかもしれない。

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