趣里扮する神波のモンスターぶりに翻弄される
ジェシーが弁護士役を演じると知り、きっとスマートに弁護を担当するのでは…と勝手に想像していただけに、杉浦のキャラクターや取り巻く環境にはいい意味で裏切られた。
第1話の冒頭で、杉浦はホワイトボードに事件を整理し、事務所のパラリーガルの村尾夫妻、洋輔(宇野祥平)、由紀子(音月圭)に説明していた。はきはきと簡潔に、被害者の情報などを伝えていく杉浦。事件の情報を正確に捉え、伝達する場面にふさわしいフラットな表情を浮かべていたのだが、神波の登場によって左眉が動いた。
そして神波の自己紹介を受けて、杉浦は「弁護士をやってみることにした、っていうのは…?」と復唱しながら不思議そうに見つめる。神波の登場によって、ここからキリっとした印象がどんどんと崩れていった。何もないデスクで資料に目を通した神波は、名刺を箱ごと持ち、自殺教唆の罪で起訴された塩屋遼(萩原利久)のもとへ面会に行くという。
手ぶらで足早に歩く神波に、「それで行くの?」「資料とか色々あるでしょ!?」とバッグの中身を見せながら真っ当な指摘をする。
こんな風に第1話の冒頭から型破りな神波に翻弄されていた。弁護士として、社会人として常識的なキャラクターがあればあるほど神波のモンスターっぷり、物語の面白さが増してくる。
新人弁護士のはずが、杉浦を越して神波に指名が入った場面では、杉浦は表情をゆがませ、少しだけ口調を強めていた。感情的にならないところに賢さを感じつつ、それでも少しだけプライドが傷つくという複雑な胸の内を絶妙な塩梅で演じた。