さとうほなみ”莉紗”の暴走がヤバい… 次回に待ち受けるさらなる修羅場とは?『わたしの宝物』第8話考察レビュー
松本若菜主演のドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)が放送中。本作は、「托卵(たくらん)」を題材に、”大切な宝物”を守るために禁断の決断を下した主人公と、その真実に翻弄されていく2人の男性の運命を描く愛憎劇だ。今回は、第8話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
美羽(松本若菜)と宏樹(田中圭)のさらなるすれ違い
美羽(松本若菜)と冬月(深澤辰哉)を繋ぐ“刺繍の栞”を、宏樹(田中圭)と莉紗(さとうほなみ)がそれぞれ見つめている…そんな不穏な幕開けとなった『わたしの宝物』第8話。
托卵と不倫が露見した美羽と離婚を切り出した宏樹の間には、気まずい空気が流れる。今後のことを話し合わなければならないが、お互いに大事な話を避けてしまい余計にギクシャクしてしまう。
「それって親子っていうんじゃねえのかな」
夫婦関係が崩壊していくなか、今回も喫茶店のマスター・浅岡(北村一輝)のセリフが骨身に沁みる。彼は宏樹に必要な言葉、欲しい言葉をいつもさりげなく与えてくれる存在だ。
宏樹は栞と離れたくないと思いつつも、美羽と栞を引き離さないために自らが身を引こうとしていた。血の繋がりを気にするがゆえの答えだったが、浅岡に「『俺の子じゃない』と栞ちゃんに言えるのか?」と問われた宏樹は口をつぐんでしまう。
たしかに、血縁からいえば宏樹と栞は親子ではないのかもしれない。でも、栞は宏樹の顔を見れば笑い、抱っこをすれば匂いで落ち着いて眠る。そしてそれは栞だけでなく、宏樹もまた同じである。
幸せな日常の積み重ねと、子どもに対する愛情。その2つによって徐々に親子になっていくのだとすれば、宏樹はもうすでに栞の立派な父親といえるのではないだろうか。
その頃、美羽は真琴(恒松祐里)に相談したことで、宏樹の出した答えを受け入れるだけでなく、栞のためにできることをしなければならないと考えを改める。その行く末が結婚指輪をはずす行為へと直結したが、寂し気な薬指に気づいた宏樹との間にさらなるすれ違いを生んでしまう。
部屋を出れば顔を合わせられるのにもかかわらずLINEで淡々と会話をするシーンは、2人の微妙でデリケートな距離感を表すのに最適な演出だった。